先輩看護師からのアドバイス 循環器科に転職する際の4つのポイント

めちゃくちゃ忙しい!
勉強もとっても難しい!

そんな診療科、何だかわかりますか?
そう、看護師に人気の高い「循環器科」です!

働いたら辛い環境なのは知っていても、人気がある診療科なんですよね~。

そこで、循環器科で働く先輩が考える
「入って来る循環器科未経験ナースに知っていてほしい事」をまとめてみました。
循環器科への転職を考える皆さんの後押しになれば幸いです。

循環器科の業務内容

循環器科でたいへんだと思ったこと

B.Iさん(34女性)

私は、現在内科のクリニックで働いています。
以前、循環器科で5年働いており、その時の経験が生きています。
花形の診療科と言われる循環器科は、毎日が忙しかったですし業務も難しくて大変でした。
でも、看護師としてのスキルも知識も上がり、現在の自信へとつながっています。

向上心がある看護師さんにとってオススメです!
ですが、花形と言われている循環器科でも漠然としたイメージの方が多いです。
なので、私の大変だったことをお伝えします。

まず、循環器科の看護師の誰もが大変に思うことがあります。
それは、「24時間心電図モニターを観察していなきゃいけない」事です。
心電図モニターの細かい波形の変化をびしっと見極める人は達人扱いされます。
モニターの観察には知識だけでなく、経験も重要になってきます。
というのも、異常波形にこれだ! という教科書通りの形が無いからです。
モニターだけで、高い集中力を要求されます。

次に、「水分出納の管理」もたいへんなんです。
循環器の患者さんのほとんどは、医師から一日水分量の制限がかかり、尿測も指示されます。
医師は一日の水分出納をチェックすることで、循環器の機能を数値として参考にします。
そのため、患者さんに一日の水分量を守ってもらえるようにアセスメントが必要です。
患者さんによっては、認知症で一日の水分量や尿を貯める事について理解を得られないこともあります。
看護師は、患者さんへのアセスメントを元に、医師に「この患者さんが水分出納をどれだけ守れるか」を
提案したり、患者さんの理解力に合わせて治療方法を医師に提案したりしなくてはなりません。
観察項目が多い循環器科はこういった業務でさらにたいへんさを増します。

最後に、「医師の指示だしが細かい事」も循環器科の看護師がたいへんな思いをする一因です。
水分出納の状況から、さらなる水分制限や利尿剤の調整を行ったり、水分制限を緩くしたり点滴をしたりする場合もあります。
循環器の管理は微調整が必要で、毎日指示が変更になることもしょっちゅうです。
日常業務の中で、医師がいきなり指示を変更することも多くあります。
患者さんにとっても重要な支持なので、素早く対応しなくてはなりません。
どんどん変更されていく指示、考えただけでもたいへんだと思いますよね。

こんなにたいへんな循環器科ですが、頑張っていれば心電図は読めるようになりますし、
急変にもしっかり対応できるようになれます。
「なんとなく」で循環器科を選ぶのはやめたほうがいいと思いますが、
看護師として成長したい、どこでも通用する看護師になりたい、と思える方には全力でオススメします。

循環器科では、他の科と同じ業務でもまた違ったたいへんさがあるようですね。
業務内容を事前に知ってから入職すると、入職前のイメージとのギャップが少なくなりますよ。

患者さんの多い疾患のポイント

勉強しておくべきこと

T.Tさん(女性)

私は、新卒から3年産婦人科で働きました。
もっと看護師として成長したいと思い、転職をして現在は循環器科で働いて1年になります。

循環器科は思っていた以上に難しくて、入職前にもっとしっかり勉強しておけばよかったと思っています。

私はわからないことは、働きながら覚えていけば良いと考えていました。
そのため、循環器科に転職が決まってから実際に勤務を開始するまで、循環器科について調べることもしませんでした。
でも、循環器科は命に関わる患者さんが多く、もっと責任感を持って勉強をしていかないといけないことがわかりました。

きっと「循環器で働くことになったけれど、何をどう勉強すればいいかわからない!」という方も多いと思います。
なので、私が入職前に勉強しておけばよかったと思った事をお伝えします。

まず、循環器で多いのは心不全と冠動脈疾患の患者さんです。
循環器科で働くのに、何から手を付ければ良いかわからないと思ったら、まずここから始めるべきです。
そして、心臓カテーテル検査と心電図を使用する頻度が高いので、これについても勉強しておく必要があります。
「心電図なんて難しくて無理!」と思われるかもしれません。
私も、そう思っていました。
入職前から心電図が読めるようにしておくのは不可能なので、モニター心電図のつけ方を覚えておくと良いです。
モニターは入職してからじっくり勉強していきましょう。
当たり前ですが、それにプラスして心臓の解剖図や生理をもう一度復習しておけば、入職前の準備として最低限できていると思います。

そして、実際に入職をしてからは、自分で受け持った患者さんの疾患名や観察項目の復習をしていきましょう。
他の人の記録を見て、どうしてそれを記録に残しているかといった理由がわかってきます。

あとは、働きながら不足している知識や技術を勉強して身につけていけば大丈夫です。
私もまだまだ一人前とは言えませんが、知識やできることは着実に増えています。
循環器科に配属されたことで、期待以上に看護師として成長できていると思います。

心電図の勉強法

O.Nさん(女性)

私は循環器科に異動して3年目になる看護師です。
異動してみて、循環器科は勉強することが多いと思いました。
始めのうちは、寝る時間を惜しんで勉強し、ふらふらになりながら勤務に入ることもありました。
疾患によって看護するポイントが違うので、覚えるまでは本当にたいへんでした。

循環器科には、心不全患者さんが多いです。
心不全には、心筋症や心筋梗塞、弁膜症などに原因となる疾患があります。
それらの病気によって心臓のポンプ機能が低下した状態のことを心不全と言います。
心不全の患者さんに対して看護師は、バイタルやSPO2のチェック、両下肢の浮腫、肺air入りや肺雑音などの呼吸状態を観察します。
心拍出量が低下したり、肺うっ血によるガス交換の障害が起こったりすることがあるため観察は欠かせません。
他にも、粘膜のうっ血や浮腫による褥瘡や感染、ルート類の感染のリスクもあります。
患者さん自身にも、水分や食事制限、治療によるストレスがあるためメンタル面でのケアも必要です。

狭心症や心筋梗塞の患者さんだとバイタルと心電図、胸部症状の観察だったり、大動脈解離の患者さんは血圧コントロール、狭心症は心不全コントロールと不整脈、と疾患によって覚える看護ポイントが様々です。
勤務中は忙しくて、業務を行うだけで精一杯になってしまうため、自宅でも勉強を頑張りました。
始めにしっかり勉強を頑張ったおかげで、今では自信をもって循環器科で働くことができるようになりました。

患者さんの多い疾患についての勉強は入職前からしっかりしておくと良いですね。
入職する前に、知識を入れておくことで先輩から教えていただく時にも理解が深まりますよ。

心電図の勉強法は?

心電図の勉強の仕方

Y.Iさん(女性)

私は7年間、循環器科で働いている10年目の看護師です。
循環器科は一般的に忙しく、仕事内容が難しいと言われています。
実際その通りで、専門性の高いスキルや知識が要求されます。
心電図やエコーなどの医療機器を扱うことも多いです。

循環器科で働いていて、よく耳にするのは「心電図が読めない」という話。
心電図は、循環器科とは切っても切れない関係です。
でも、配属されてきた循環器科の新人が最初から心電図が読めることなんて、私たちは期待していません。
勉強して読めるようになってくれれば良いんです。

これから循環器科で働くことを考えている看護師の皆さんへ、私なりの心電図の勉強法をお伝えさせていただきます。

まずは、「心電図カードを持ち歩く」事。
常に、心電図の状態を考えるようにして、読む力を養いましょう。
最初は「異常な波形」だけをクローズアップして覚えると良いですね。

そして、たくさんのモニターを見て「いつもと違う」ことを感覚でつかめるようになりましょう。
モニターを見ながら自分で考え、それを先輩看護師に質問したりするとより身に付きやすくなります。
教科書通りのきれいな異常波形が出ることはありませんので、まずは「どれが正常でどれが異常か」を掴むことが大切です。

心電図が読めるようになるには、地道な努力が必要です。
少し勉強したからと言って、すぐに読めるようになることはありません。
諦めずに勉強を続けて、周りの先輩にたくさん質問をしてください。
それを続けていれば、気が付いた時には心電図が読めるようになっていますよ。

他には、AHA公認のACLSなど、さまざまな心電図の講習会や研修会が開かれていますので、受講してみるのも良いと思います。
参加費や交通費などはばかになりませんが、受講することで理解が深まったと言っている後輩看護師も何人もいます。

最初はたいへんですが、心電図が読めるようになってくると循環器科で働くのが楽しくなりますよ。
循環器科に興味のある看護師さんには、ぜひ挑戦してみてもらいたいです。

心電図が読めるようになるには、慣れが必要!
とにかく苦手意識をなくしてひたすら読み込むのみ。
「全然わからないよ~」なんて思わなくても大丈夫、頑張っていればちゃんと読めるようになります。

予想外のモチベーションダウン

喫煙の問題

I.Tさん(女性)

私は新卒で循環器科に配属された1年目の看護師です。
循環器科は忙しいよ、と配属が決まってから周りに散々教えてもらっていたので心構えをして入職しました。
そのおかげで、とても忙しくて辛い時もありますが、挫けずに頑張れています。

仕事も難しいですし、急変も多くて、先輩に頼ってばかりです。
早く一人前になれるようにもっと勉強しないといけないと思っています。
やりがいがある診療科ですし、自分も成長できるということでモチベーション高く働けています。

でも、そんな中で私のモチベーションを下げる事があります。
それは、患者さんの喫煙です。

循環器科の患者さんには、喫煙がよくない疾患を抱えている方がたくさんいらっしゃいます。
禁煙の大切さについては何度もお伝えしています。
それでも、目を離すとすぐに病棟内の喫煙友達と一緒に、喫煙所に消えていきます。
車椅子に乗って、ポータブル酸素マスクを持ってまで喫煙所にいく患者さんもいます。
その患者さんは、煙草を吸いながら必要に応じて酸素マスクをつけると言っていました。

煙草を吸いに行くだけでも信じられないのに、病室に戻ってからは呼吸の苦しさを訴えてきます。
煙草を吸ってきたんだから、当たり前ですよね。
そんな患者さんにも、ネブライザーやインヘーラーを出さないといけません。
本当に治す気あるんですか?って聞きたくなります。

そんな患者さんに「ちっとも良くならない」なんて言われるので、腹立たしくて仕方がありません!

患者さんの喫煙を見るたびに、私って何で仕事頑張ってるんだっけ?と思ってしまいます。
もちろん、喫煙をする患者さんばかりではないですし、基本的には前向きに仕事をしています。
先輩には、最終的に患者さんが自分の判断で禁煙ができるようにサポートするのも看護師の役目だよ、と教えてもらいました。

喫煙のことでいちいちモチベ―ションを下げているわけにもいかないので、私も先輩みたいに考えて禁煙指導に取り組めるようになりたいと思います。

予想外のモチベーションダウンがあります。
それでも、心を折らずに患者さんに向き合おうと思って進んでいきましょう。

循環器科で働こう

先輩看護師から学ぶポイントは4つ。

・循環器科の業務内容
・患者さんの多い疾患のポイント
・心電図の勉強法
・予想外のモチベーションダウン

前もって知っているだけで、心構えも勉強もできますね。
入職して早々にギャップが大きくて辛い……なんてことにならずに済みますよ。

憧れの循環器科はもう目の前です。
あとは、勇気を出して転職してみませんか?