看護師の有給事情…取れてる人と取れてない人の違い

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有給が取れない・・・これって当たり前なの?
私って有給とれてる方なの?
もっと取るにはどうしたらいい?

看護師の間で、有給が取れないといった不満や悩みをよく聞きます。
そこで今回、看護師の有給事情についてお話しします。

みんなはどれくらい有給を取得しているのか、
有給が取れてる人、取れてない人の違いも見ていきましょう。

ほんとはこんなにもある!有給日数

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まずは有給制度について簡単におさらいしてみましょう。

有給は国に認められている労働者の権利であり、勤労期間によって給料の出る休暇日が与えられる制度のことです。
半年以上で10日間。その後1年毎に11日、12日、14日と増えてゆき、6年半以上勤めると年に20日間が有給として与えられます。

また消化しきれなかった有給は翌年に繰り越すことができます。
有給は最大2年間で消失するので2年以上持ち越すことはできません。

この制度は申請しないと使えないこともあり、職場によって「有給はない」と言われることもあります。

有給消化の平均

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とはいえ、看護師の有給消化率はとても低いと言われています。
皆さんも「ほとんど無い」「あっても年に数日」という方が多いのではないでしょうか。
確かに実態はとても悲惨な状況です。
日本看護協会によると、年10日間以下しか有給を取得できていない看護師の割合は『72.1%』にものぼります。

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(参考:日本看護協会「2009年 看護職員実態調査」)

しかし逆に考えると残りの『27.9%』の看護師は年11日以上取得できていることになります。

そして年21日以上取得できている看護師も3.3%います。
けして多くはありませんが、そもそも6年半以上勤めないと有給は20日以上には達しないので、実際は恵まれている看護師もそれなりに居るといえます。

年10日以下の看護師が大多数な一方、3割弱の看護師が有給を多く取得できています。
同じ看護師として働いていて、この違いは何故生じるのでしょうか。

有給が取れる看護師の体験談

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新人も気軽に有給が取れる

20代 女
慢性期病棟

あまりにもハードな勤務体制から逃げるように一年ほど前に慢性期病棟に転職しました。

転職先も仕事自体のキツさは変わりませんでしたが、有給をきちんと取らせてくれる職場でした。
前の職場では有給なんてあってないようなものだったので、上司に「今月から有給出るからちゃんと消化してね」と言われた時はドッキリかと思いました(笑)

今の職場は病院全体で環境改善に努めていて、残業も減らすよう工夫がされています。
あまりにも仕事が多く残った場合は上司が指導に入り、相談に乗ってくれます。

前の職場のことを思うと、信じられない待遇の良さです。

上司が取っているからとりやすい

20代 女
精神科病棟

仕事は激務です。
特に精神科という特殊な環境なので、体力的にも精神的にもいつもボロボロです。

唯一の救いは残業がほとんどないことと、有給が取りやすいこと。
有給というとなかなか言い出しづらいイメージがありますよね。

しかしうちは上が率先して取ることを勧めているので希望が出しやすいです。
実際上司も温泉旅行だ海外旅行だと代わる代わるリフレッシュしています。
というかそうでもしないとやっていけないです(笑)

でも上司が率先して有給を取ってくれることで、下の私たちも気兼ねなく申請することが出来るのでありがたいです。
仕事を頑張る糧にもなるし、やはり定期的な休暇は必要です。

組合が強いから取れるようになった

40代 女
小児科

「組合なんてお金ばかり取られて何もしてくれない」そう思っていました。
しかし子育てを経て復職した今の職場は、有給消化や残業にとても敏感です。

今までとの環境の違いに驚き聞いてみると、組合の力が強いおかげとのこと。
どうやら組合が出来る以前はそれはもう地獄のような環境だったそうです。

組合が実際に機能することなんてあるのかと驚きましたが(失礼)、おかげで比較的恵まれた環境で働けていると思います。

環境改善に取り組んでくれた先輩たちに感謝しつつ、来年はどこかで家族旅行に行こうかなと考えています。

まとめ

有給はなかなか自分からは取りづらいものです。
職場や上司が率先して有給を勧めてくれると、下の看護師も申請しやすいですよね。

また、組合の働きかけで待遇が改善された例も存在します。
自分一人で戦うのが難しいからこそ、一丸となって環境改善を求める。
そういったことが行われている職場は、当然待遇も良くなります。

有給が取れない看護師の体験談

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転職時に取れると聞いていたのに実は取れなかった

30代 女
循環器内科

以前の職場は当たり前のように何時間もサビ残があり、ただ寝に帰って起きたらまた仕事という毎日。
たまの休みも死んだように寝て一日をつぶすことがほとんどでした。
仕事は厳しくても仕事とプライベートをきちんと分けれたらと、転職をすることにしました。

面接で「有給はちゃんと使える」と言われ、現在の職場へ入職を決意しましたがそれが大失敗。
蓋を開けてみると、前の職場の比じゃないくらいの忙しさで、検査に追われ、急変に追われ、てんてこまいの日々。

当然毎日残業。有給なんて全く取れない。
「騙された!!!」と思うも後の祭り。

いつ倒れるか。倒れたら楽になれるか。と思いながら働いています。
循環器を甘く見ていた。鵜呑みにせずもっと調べておけばよかった。

一応取れるけど希望は通らない。師長の匙加減。

20代 女
整形外科

うちは休みは全てシフトを組んでいる師長の許可が必要です。
月末に一応希望休は聞かれますが、よほどの理由が無いと通りません。

師長がThe仕事人間の独身貴族なので、うかつに旅行に行きたいなどと言うとどんな嫌味を言われることか……!
仮に通ったとしても公休になっていたり……。

有給って認められた権利じゃないの??
ふさわしい理由ってなんなの??

だらだらするのも、彼氏と旅行行くのも立派な理由だーー!!!

病欠以外では認められない。取れる雰囲気ではない。

40代 女
内科クリニック

私の職場には有給は存在しません。
有給って何?って感じです。

病気(インフルエンザ)で休んだ時は有給扱いになっていましたが、それって休暇ではないですよね?

しかもなんとか治って復帰しても上司からの執拗ないびりが……。
こんな忙しいのに看護師としての自覚あるの?って。
いやインフルエンザで無理して来る方が看護師としてダメでしょ……。

そもそも先輩も上司も誰一人取らないので、本当にそういう制度が無いんだと思ってました。
仕事はめちゃくちゃ忙しいし、ただでさえ人手が足りなくて休みを回すのでいっぱいいっぱいな毎日。
有給が欲しいだなんてとても言える雰囲気ではありません。

まとめ

有給が取れない病院、慣習として存在しないと言われる病院は確かにあります。
そういった職場で有給を勝ち取るのはとても骨が折れます。

そのため大多数の看護師が諦めてしまっているのが現状です。

また周りの看護師が取っていないので、という無言の圧力に屈してしまう場合も多いです。
とても日本的な悪習だと思うのですが、中にいる当人にとっては深刻な問題です。

有給が取れない原因

yukyu (4)

それではなぜ看護師はこんなにも有給が取れないのでしょうか。
そこには3つの要因があると言われています。

・人手不足

看護師は常に人手不足の職業です。
猫の手も借りたいくらい忙しいのに有給を申請して更に人手を減らすことは出来ない、となってしまうわけです。

・管理能力

職場を取り仕切る役職の管理能力にもよります。
上手く負担を分担し合い、普段から有給を取る工夫をしてくれていると良いのですが、
その場しのぎでただシフトを組むだけだと看護師に有給を取得させる余裕は無いでしょう。

・病院の体制、雰囲気

有給を認めないという病院の体制も問題です。
「皆休まずに頑張っているんだから」
「今までしてこなかったのに特別扱いは出来ない」
などといった同調圧力の下で有給を取得するのは至難の業です。

結局は職場による

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結局のところ、有給が取れるかどうかは働く職場にかかっています。
その職場が人手不足なのか、上司は有給を取らせてくれるか、有給が許される雰囲気なのか。

有給が取れない病院で働きながら、有給を主張するのはとても大変です。
権利とはいえ、主張したら嫌味を言われたり、今後の勤務がしづらくなってしまうケースもあります。

逆に環境が整っている病院ですと何の苦労もなく、有給を使うことが出来ます。
そこでは有給を取得することが当然なので何も気に掛ける必要はありません。

職場によって有給の取りやすさは全然違います。

まとめ

有給取得は病院により左右されます。
取れない病院には取れない理由があり、それを乗り越えて有給を勝ち取るのはとても難しいです。

有給は労働者に認められており、本来は使えて当然の権利です。

交渉に力を入れるのも良いでしょう。
しかし一番の解決策はやはり有給を認めてくれる病院で働くことです。

取れていない人は、転職も視野に入れておきましょう。