消化器外科の実態 忙しく働く9人の看護師の体験談

消化器外科に転職したいと考えるあなた!
消化器外科って、どんな科なんだろう?

外科だから忙しいのはわかるけど・・・
実際に何が大変?どう忙しい?
具体的に、知りたくないですか?

今回は、実際に消化器外科で働く看護師さんにお話を聞いてみました。
少しでも転職の参考になればと、体験談をまとめました。

緊急入院・緊急手術対応で忙しさ倍増

新卒で消化器外科

Y.Bさん(23歳女性)
勤務先:消化器外科

私は消化器外科で働く、新卒1年目の看護師です。
1000床以上ある超急性期の病院です。
1日に手術が10件以上あり、緊急入院、緊急手術、急変!と毎日慌ただしく業務をこなしています。
そのため、患者さんとゆっくり話す時間もありません。

まだ1年目なのでわからないことも多くて先輩に相談したいのですが、先輩も忙しそうなので相談するタイミングがありません。
それで患者さんを待たせて怒られてしまいました。
そのことで先輩看護師たちに影で笑われて…
精神的に辛いです。
毎日3~4時間残業して、家に帰ると疾患の勉強を夜遅くまでしています。
でも今の環境では、不安でいっぱいになってしまい、看護師として成長するのは難しく感じています。

前から興味のあるリハビリテーション病院へ転職しようか悩んでいます。

消化器外科に向いてない

A.Eさん(24女性)
勤務先:消化器外科

私は消化器外科で働く2年目の看護師です。
新卒で、消化器外科に配属されました。

私って急性期に向いてないんじゃないかなって悩んでます。
一度にたくさんのことをやらなくちゃいけかったり時間が限られているとすぐに焦っちゃうんです。

最近、腸閉塞や虫垂炎患者の緊急入院、緊急手術が続きました。
患者さんのアナムネ、状態把握、前処置、手術室への送り出し、
全てを私一人で行うわけではありませんが、いつも私一人だけ、あたふたしています。

焦って混乱して、一つの業務をこなした後どっと疲れが出ます。
だから、次にやることまで頭が回らないんです。
焦っても仕方ないってわかってるんですが。
いつかミスしてしまうんじゃないかと怖いです。

先輩は「焦らなくていいよ。」と優しく手助けしてくれますが…
このまま、消化器外科で働いていけるか不安です。

消化器外科は忙しかったけど、いい経験になりました。

U.Uさん(26女性)
当時の勤務先:消化器外科

私は、半年前に循環器内科に異動しました。

その前は、新卒で消化器外科に3年間勤めました。
消化器外科は、ベッド回転率が高く、緊急入院・緊急手術の対応でとても忙しい職場でした。

新人の頃は、覚えは悪い、ミスも多いといつも怒られてばかり。
ほんとにしんどくて、正直辞めたいと思ったこともありました。
でも、3年は頑張ろうと決めていました。

3年後、私は消化器外科から循環器内科へ異動になりました。
外科から内科、全く違う部署で一から勉強です。
初めは、経験したことない内科で不安と戦いながら、必死でした。

でも、消化器外科での経験も役に立つことがあったんです。

ストーマ患者さんのパウチ交換やストーマの周りの皮膚のケアなど、消化器外科で学んだことが活かせたんです。
消化器外科ではストーマの造設手術があり、ストーマの管理には慣れていました。
内科でもストーマの知識があまりない看護師がいて、私が教えた時にはちょっとした優越感。
業務量も多くて忙しい職場だったけど、消化器外科で3年がんばってよかったと思いました。

消化器外科は体力勝負!

H.Aさん(30歳女性)
勤務先:消化器外科

私は、消化器外科で働く30歳の看護師です。
新卒で配属され、8年目になります。

来年、結婚予定なので今月いっぱいで退職することになりました。

消化器外科は、毎日が戦争のように忙しい職場です。
仕事は、基本的な看護業務に入退院の対応、オペの前後の処置や指導、オペ準備、ストーマ管理、患者さんの精神的なケアなど。
毎日バタバタです。
緊急入院・緊急手術があると残業は3、4時間になることもあります。
体力的にとってもハードな職場。
ハードなゆえ離職率も高く、新しく入職した看護師に一から教育。
仕事は増える一方でした。

でも、私が長く勤められたのは人間関係が良かったからです。
忙しいからこそ、みんなで協力しあっていました。
一致団結して業務をこなすので、看護師同士はとても仲が良かったです。

私は結婚後、家事と仕事を両立する自信がなかったので退職を決めました。
やっぱり、子供もほしいですしね。

結婚、出産、育児が落ち着いたら、クリニックでのんびりで働きたいと思います。

術後管理は時間がかかる

パウチ漏れの原因

E.Tさん(28歳女性)
勤務先:消化器外科

私は消化器外科に勤めて5年目の看護師です。
今、新人指導を任されています。

ストーマの管理って本当に難しいですよね。
消化器外科は大腸がんのオペが多いから、どうしてもストーマの患者さんの管理が多くなりますし。
私も新人の頃、パウチ漏れを起こすことがしょっちゅうありました。

昨日、新人から漏れないコツってありますかと聞かれました。
患者さんによって全く違うし、一言では説明できません。
術式や、術後何日目なのか、ストーマ周辺の皮膚の状態や便の状態によりますしね。
術後すぐの場合は、便が液状なことが多くパウチの溶けが早いので、毎日交換することで漏れを防ぎます。
あと、ストーマのサイズも重要です。
大きく切りすれば、皮膚がただれてしまうし。
皮膚がただれて、凹凸ができてしまうと、しっかりパウチを貼ることができません。
それを埋めるための皮膚保護材の量が多くても少なくても漏れの原因になります。

やっぱり正しくアセスメントすることが、漏れないコツになるのかなと思います。

術後の早期離床

H.Mさん(25女性)
勤務先:消化器外科

私は消化器外科で働く3年目の看護師です。
もともと外科に興味があったので、希望通りの配属になりました。

入職して1年目の頃は、患者さんの術後の管理が難しくて悩んでいました。
私が担当する患者さんの離床が他の患者さんと比べると遅れていたからです。
医師から、「術後は合併症を予防するために、早期離床を!」と指示が出ます。
師長や先輩看護師からも、「どんどん歩かせないとダメだよ」とよく言われていました。

患者さんは術後1日目、痛みや吐き気が強く歩けないと拒否されることが多いです。
私は周りの看護師の目が気になって、「早く歩いてもらわないと」と焦っていました。

3年たった今では、患者さんの症状に合わせて、早期離床を勧められるようになりました。

私が早期離床を勧めるポイントは3つです。
・患者さんに早期離床の大切さを理解してもらう
術前から、術後の早期離床は早期回復につながることを患者さんに説明します。
患者さんがしっかり理解して、心の準備をしてもらうことが大切です。

・離床時期の見極め
術後は積極的に早期離床を進めなければなりませんが、無理強いはしません。
患者さんの状況(痛みの緩和)や気持ちを理解してから、進めています。

・離床時の環境整備
歩行時のめまいや立ちくらみ、呼吸苦や疼痛の有無などしっかり観察します。
また、点滴チューブやドレーンなど引っかからないよう、患者さんが歩きやすい環境を整えます。

新人の頃は、患者さんへの配慮が足りなかったんだと気づきました。
その時の患者さんには、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
でも今はしっかり患者さんと向き合って、早期離床できるよう心がけています。

ストーマケアは心のケアも大切

O.Aさん(30女性)
勤務先:消化器外科

私は消化器外科病棟で働く、5年目の看護師です。
内科病棟で3年勤務後、スキルアップしたいと思い消化器病棟へ異動しました。

消化器外科ではストーマ増設手術後、落ち着いたころに患者さんにセルフケアの指導をしています。
完全にセルフケアできるようになるまで時間のかかる患者さんが多いのが現状です。
内科病棟でもストーマを造設した患者さんがいましたが、普通にセルフケアをされていたので「セルフケアの指導」の難しさに初めは驚きました。
患者さんはストーマ手術を終えたばかりで、自分の体を見るのが怖かったり、精神的に辛い思いをされています。
そのため、患者さんがストーマを受け入れて、セルフケアできるようになるまでには時間がかかります。

退院後は、ケアをしてくれる看護師はいません。
師長は「少しでも自分でケアできるように」と私を急かします。
でも無理矢理セルフケアの指導をしても患者さんを追い詰めてしまうだけではないかと思っています。
患者さんによって、術後の心理状態もさまざまです。
まずは、ストーマになってしまったことを、患者さん自身が受け入れるという心の準備が必要です。
患者さんの様子をみて、少しづつコミュニケーションを取りながら、見守っていきたいです。

忙しい中でうまくやるコツ

忙しいけど

T.Tさん(28歳女性)
勤務先:消化器外科

私は、消化器外科で働く5年目の看護師です。

消化器外科は、忙しくて毎日残業ばかりです。
患者さんは、消化器手術で入院する方だけでなく、術後のケモ入院や終末期で入院している患者さんもいます。
疼痛コントロール目的の患者さんも多いです。
時々あるのが、消化器内科患者の入院です。
これは、消化器内科のベットの空きがない時ですが…
毎日、いろいろな患者さんが入院してきます。
そして、一番大変なのが緊急入院です。
通常業務に追加して緊急入院の対応。残業プラス3時間は確定です。
緊急入院がなくても2時間残業は当たり前なのに、さらにプラス3時間(泣)
しかも緊急入院患者は、全体の4割くらい。結構、多いんです。

残業ばかりで体力的に辛い時もありますが、私は消化器外科が大好きです。
スタッフみんなで協力しないと、早く帰れないのでチーム力はハンパないです。
忙しすぎるからかいじめもなくて、みんな明るくてサバサバした看護師が多いので働きやすい環境です。
1日が終わると「今日もやりきった」と充実感でいっぱいになります。

業務改善で、残業が減りました

A.Mさん(28歳女性)
当時の勤務先:消化器外科

私は、消化器外科病棟で働く独身28歳の看護師です。
看護師5年目の時に、消化器内科から消化器外科へ異動してきました。

外科は内科より忙しく残業が多いです。
スタッフも、妊婦さん1人、産休明け2人がいて、その3人は時短勤務なんです。
だからどうしても私たち独身20代の看護師たちの残業時間が多くなってしまって。
残業を減らすために業務改善することになりました。

消化器外科は、ほぼ毎日、入院・退院・手術出しがあります。
さらに、緊急入院や緊急手術も多いです。
そこで、当番制で「入院担当」を作ったんです。
「入院担当」になった日は、受け持ち患者を持ちません。
入院患者の対応と、入院患者が来ない時は外回りをします。
緊急入院があっても「入院担当」が対応します。

「入院担当」を決めることによって、他の看護師は担当患者に専念できるようになりました。
仕事が回りやすくなったので、残業時間も1時間程度ですが減らすことができました。

やはり、消化器外科は残業が当たり前でハードな職場のようですね。

忙しすぎる、向いていないと転職に悩む看護師や
忙しいからこそ看護師のチームワークはばっちりと働きやすいと感じる看護師
忙しいからこそ「仕事をやり切った」とやりがいを感じる看護師さんもいます。

この体験談を参考に、消化器外科にチャレンジしてみては?