看護師のみなさん、こんにちは!
看護師の仕事は数多くありますが、患者さんの最期を看取るのも大切な仕事の1つですよね。
看護師という立場上、多かれ少なかれ患者さんの死に立ち会うことは避けては通れないことだと思います。
・まだ最期を看取ったことがない、不安・・・
・患者さんの死は悲しんではいけないの?
・慣れないとダメなのかな・・・?
3人の先輩看護師が「患者さんの死」とどう向き合ってきたのか紹介します!
患者の死に慣れてはいけない
H.Hさん(女性30代)
看護師歴:10年 外科と内科を経験。
看護師になって半年ほどしたころ、総合病院の病棟勤務をしていた時のことです。
そろそろ重症患者さんを経験させなければと先輩たちが考え、ある患者さんの担当になりました。
患者さんが亡くなるまで
その方は悪性腫瘍の末期、積極的な治療はすべてやり終えて、すでにターミナルケアに移行していました。
2週間ほど前から個室に移動し、鎮痛剤を使用していたためか、常にうとうとしている状態でした。
そして徐々に意識レベルも低下していました。
酸素投与は10Lほどされていて、受け持っていた時点ですでに肩で呼吸しているような状態でした。
死期が迫っていることを告げられた家族が数日前から泊まり込んでおられましたが、疲労の色が見えていました。
通常寝たきりの患者さんには毎日体をふいたり、足浴や手浴などを行うのですが、血圧やSPO2が低下傾向にあり、少しの体位変換も循環動態の不安定につながると考え、その日は陰部洗浄のみ行いました。
あとは少し体位を整えたり、家族に声をかけたりしましたが、なるべく家族の時間が持てるよう、訪室は意識的に少な目にしていました。
亡くなった時
お昼を過ぎたころ、急に心拍が落ち、そのまま亡くなりました。
医師の死亡確認の後は、不要なモニター類を取り除き、少しですが家族だけの時間を持ってもらいました。
その後しばらくしてからエンゼルケアを行い、霊柩車等の手配の説明を家族に行いました。
そして霊柩車が到着し、玄関までお見送りに行きました。
感情
エンゼルケアの時、今まで生きていた人が「もう今は亡くなってしまった、動かなくなってしまった」と思うと、改めて辛さが込み上げてきました。
しかし家族が誰より辛いと思い、家族の前で泣くことは我慢しました。
患者さんが亡くなった直後の家族は、荷物の整理や葬儀社への連絡など、行うべきことが次々にあり忙しくなります。
なので、業務的なことで家族に迷惑をかけてはいけない、嫌な思いをさせてはいけない、とかなり気を張っていました。
患者さんの死から学んだこと
受け持ち患者の死がショックなのは当然。
むしろショックを受けない人のほうが問題だと思います。
病棟によって患者さんの死亡が多いところも少ないところもあるかと思いますが、どんなに多くても絶対に慣れてはいけないと思っています。
業務的なことはもちろん覚えていかなくてはならず、冷静でいることが求められます。
しかし人が死んでいくことに慣れてはいけません。
患者さんは治らないという結果だったけれど「本当に頑張っていた」と看護師同士で振り返ったり、ふとその患者さんのことが話題に上がったりしながら、患者さんの死を受け入れていくのだと思います。
悲しみの感情はあって当たり前
N.Hさん(女性40代)
看護師歴:総合病院(ICU)1年 精神科病院17年 総合病院外来1年半 精神科デイケア2年 整形外科クリニック1年
私が初めて患者さんの死に立ち会ったときの話です。
もう20年以上も前のことですが・・・(汗)
新卒4か月目。
3交代の総合病院(ICU)に勤務していた時のことです。
患者さんが亡くなるまで
ある80代女性の外来受診患者が緊急入院をしてきました。
入院してからその患者が私の受け持ち患者になり、毎日看護することに。
状態はしばらく安定していましたが3カ月が経過した頃、状態が悪化してきて、余命は1週間だと宣告されました。
いつ命をなくされてもおかしくない状況。
亡くなった時
私が深夜勤務に入っている時。
モニターに変化が現れ、心停止を起こし、そのままお亡くなりになったのです。
家族から見放されてたこともあり、親族が来られたのはご遺体をお引き取りになる時だけでした。
感情
私はその時に初めて死に直面したこともあり、動揺が隠せませんでした。
慌てて院長を呼び、必死に心臓マッサージを行いましたが・・・
夜勤帯であったため、先輩看護師と2人でエンジェル処置を行いました。
しかし私は処置が出来なくなって、結局先輩看護師が1人でしてくれました。
毎日笑顔で私を受け入れてくれていた患者です。
受け持ち患者の初めての死を受けれることが出来ず、死後の処置をしているうちに涙が止まらなくなり、処置が出来なくなってしまったのです。
患者さんの死から学んだこと
人の死とは本当に辛いでものです。
そのうえ受け持ち患者の死となると、心入れがある分さらに辛いです。
慣れなくてはいけないと思わないでください。
人間である以上は「悲しみの感情」はあって当たり前のことであり、その悲しみの感情を無くさないで欲しいのです。
私はその後、人の死に直面しても冷静に処置を行えるようになりました。
それは受け持ち患者の初めての死の時に、先輩看護師に教えて頂いた言葉があるからです。
「泣きたいだけ泣きなさい。その気持ちをいつまでも忘れずに優しい気持ちでいる事、そうすれば「人の死も無駄ではない。安らかに眠って下さい。」と思えるようになる。」
私も初めて死を直面した看護師にそうアドバイスしています。
後悔しないよう治療は全力で!
M.Mさん(女性30代)
看護師歴:OPE室1.5年 透析5年
とある透析クリニックで勤務して5年目の看護師です。
透析でも患者さんが亡くなることも
外来のみなので、あまりにも状態が悪い患者さんは別の病院に入院、または療養型の施設に入院・転院となります。
なので、透析クリニックで患者さんが亡くなる事はほぼありません。
しかし透析患者さんの中には、心筋梗塞等が無痛性に進行する事があります。
また高カリウム血症で不整脈が出やすい状態になっています。
その日は通常に透析をしていても、帰宅後や翌日に突然亡くなる事もあります。
患者さんが亡くなるまで
透析業務について半年後ほどの出来事でした。
機械操作に慣れて穿刺も行い、ある程度の業務は1人で行えるようになっていて、リーダーの業務にも入っている頃でした。
出勤すると先輩スタッフや技師さん、ドライバーが慌ただしく動いていました。
何があったのか聞くと、目が悪い患者さんが自宅で出血まみれで亡くなられていたとのこと。
ドライバーがいつもの様に迎えに行き電話しても出て来なかったため、管理人さんと共に部屋に入ると部屋中血まみれでその真ん中に横たわっていました。
近くには湯呑が落ちており、中には何故か血液が入っている様子でその血液は固まっていたそうです。
独居で誰も訪問する者も居らず、発見も遅れてしまったようです。
亡くなった原因
その後の司法解剖によると、シャント部の瘤が破裂して出血し、失血状態になった事が死因の様でした。
(前日は何事もなく通常の透析をして、止血も確認しましたが・・)
湯呑に血液が入っていたのは、血がどんどん出ていくから湯呑に入れて飲んで体に戻そうとした、のではないかとの事でした。
目の悪い彼のとっさの判断だったのでしょう。
ただ目は悪かったのですが1人で頑張って生活してた患者さんです・・。
感情
聞いたときは驚きました。
ただある程度予想もあったため、ら気持ちの整理も出来ました。
透析患者さんは老年期の方が殆どで、年齢や原疾患によって状態が悪くなって入院、永眠されることは稀にある話です。
この様な突然死も外来透析だからこそあり得るのです。
患者さんの死から学んだこと
人はいつか必ず死にます。
それがいつやってくるかは本当に分からないものだということを経験しました。
後悔しない様に毎回の治療を全力で行う事が、医療従事者として精いっぱいの行動ではないかと考えます。
まとめ
いかがでしたか?
患者さんの死が辛く悲しいのは、人間として当然の感情。
どれだけ経験してもその死に慣れてしまったり、悲しみの感情をなくしてしまってはいけません。
先輩看護師も最初は戸惑い、悩んだようですね。
経験を積んで、うまく気持ちを切り替えられるようになったのです。
大切なのはその人らしい最期を迎えられるよう、そして後悔しないよう、精一杯看護にあたることです。