30代看護師の転職 明暗分かれる4つの体験談

転職を考えている30代の看護師のみなさんこんにちは。

30代で未経験の診療科に転職できるの?
人間関係も作り直せるか心配…。

そんな不安はありませんか?

しかし、30代の看護師は即戦力になれます。
特にコミュニケーションでは、相手に合わせた話ができるため、病院側に期待されるので、転職が成功する確率は高いです。

では、30代で転職に成功した看護師と失敗した看護師は具体的に何が違っていたのでしょうか?
ここでは看護師4人の体験談を紹介しています。

30代で転職に成功した看護師

転職の悩みを乗り切った

O.Aさん(32女性)
勤務先:クリニック

私は経験12年目の看護師です。
ダンナの転勤のため、2年前に30歳でクリニックへ転職してきました。
これまで病棟、施設、クリニックを経験してきましたが、看護師は最低2人いました。
でも、このクリニックは私1人で勤める職場でした。
だから、急病では休めないし、ダブルチェックもできない。
看護師がする仕事の責任が全部自分にのしかかってくるからものすごく怖いな、と思ったのを覚えています。

20代でもクリニックを経験していたので、30代になったことで、これまで以上に頑張らなきゃ、と思いつつ、一人でいろいろな業務を覚えなければならないことに対して、最初はすごく不安がありました。
引き継ぎ期間にメモしまくりましたが、医療事務も覚えなきゃならなくて、一時期はパニックでした。
加えて、事務員が休むときは点滴や採血、調剤をやりながら私がお会計や受付もやらされました。
もう、仕事量がハンパないし、不安を通り越して怒れてきましたよ。

そんな環境に悩みもしたのですが、業務をこなすうちに、私には一人の業務が向いていると感じるようになりました。
ただ、私が30代で始めたからできた仕事だったと思っています。

30代になったんだから、看護以外の事務や受付なども頑張って「ここは私のクリニックだ」という気持ちで責任を持って取り組みたかったんです。
その勢いが、不安や悩みを跳ね飛ばしていました。

入職当初は、薬剤の発注や会計を間違えることもあり、院長や他のスタッフだけでなく、患者さんに怒られることも多々あったし、医師のクセもわからなかったので、少しの間は人間観察をしていました。
そして、医療的な面では院長や他の医師のクセを知り、担当の医師によって器具を置く場所を変えるようにしました。
自分には興味のない医師や他のスタッフの趣味の話にはもちろん、患者さんのお話に付き合うようにもなりましたよ。
そのうちに、院内すべてのことにおいて、人間関係が円滑になりましたね。

そして、何でもかんでも人に頼らないようにもなりました。
つい人に頼りがちだった調べ物を自分で調べて責任を持つようになり、人から頼まれたことも積極的に調べるようにしたんです。
そしたら、いつの間にか頼られるようになっていました。

20代のころは、器具の準備をする際も、ただただ診察室に置けばいいと思っていたし、医師や他のスタッフの趣味に興味はなかったので、特に相手にもしていませんでしたし、無視していたことさえありました。
さらに、調べ物に関しては自分で調べるより、人に聞く方が圧倒的に多かったです。

でも、医師の心理を考えて器具を置き、趣味の話でスタッフや患者さんとも打ち解け、調べ物を頼まれるようになれたのは、今の私だからだと思います。
30代にこのクリニックで勤務ができたことで、成長することができました。

転職で成長できた

A.Bさん(37女性)
勤務先:内科病棟

私は、30代半ばで転職した看護師です。

新卒から10年内科病棟に勤務した後、精神科で3年勤務したものの、手技を忘れそうで不安になっていました。
職場を移るなら40前にしたかったので、募集があった外科病棟に転職しました。
若い看護師が中心の職場だから、患者さんとのコミュニケーションを上手に取れない人が多い。
あなたが手本になって欲しいと師長に要望されての採用でした。

転職先では慢性期に配属されました。
若いのに先輩もしっかりしていて親切で、雰囲気も良いのでどうにかやっています。
即戦力として採用されたので、一度説明はしてもらえましたが、基本的には自分一人で仕事をします。

でも、30代半ばで新しいことを覚えるって結構きついですね。
初めに苦戦したのが電子カルテです。
これまでは手書きの経験しかなかったので、一度受けた説明だけでは訳が分かりませんでした。
入職から1か月は先輩に手伝ってもらいながら入力してました。
その分、先輩には話を聞くのが苦手だという患者さんの傾聴を教えました。
先輩からも患者さんからも感謝されて、一石二鳥でしたよ。

次に苦労したのが、処置の仕方が今まで覚えてきたやり方と全く違うことです。
この病院のやり方を覚えたつもりが、うっかり前の病院のやり方に戻ってしまうことが結構あって…。
二度目の転職なので、最初はミスが多発するだろうと頭で予測はできているのですが、やっぱりどうしてミスをしちゃうんだろうと悩みましたね。
先輩は、そのうち覚わりますよ、ってフォローしてくれたので、それが救いでした。
ただ、なかなかやり方を覚えられないのは、情けなくて悔しかったです。
家に帰って処置の復習をしても、自分の体に染みついたやり方がなかなか変えられなくて、泣けてくることもありました。
結局、3か月くらいは前の病院とのギャップに悩みながら処置をしてましたよ。

40手前での転職は正解でした。
これ以上年齢が上がったら、処置を覚えられなかったと思います。
私はこの病院での処置の仕方を覚えることで、新しい視点を学べたし、先輩には傾聴のコツを教えることができています。
教えあってお互いに成長できる環境で、ほっとしています。

30代で転職に失敗した看護師

プライドのせいで病院にいられなくなった

I.Yさん(35女性)
勤務先:病棟

私は病棟経験15年の看護師です。
経験は外科病棟のみだったので、スキルアップをしたくなり、内科病棟へ転職しました。
しかし、自分のプライドが高いあまり、人間関係が上手に作れず、イジメられて転職するハメになりました。
自分が30代だからこそ、20代の先輩を敬うべきだったと後悔しています。

4月入職のため、同期は新卒の20代がほとんどで、最初から自分だけ仲間はずれのような感覚がありました。
中途入職の中でも、30代なのは私だけだったし、主任まで年下でした。
内科病棟は未経験なので、初日は先輩が業務を教えてくれました。
仕事を教えてもらえるのはありがたかったですが、私にもプライドがあるので、年下の先輩から指導を受けたくありませんでした。
先輩の話なんか聞かなくても見ていれば覚えられると思い、話半分で指導を受けていました。

そのせいで、実際に患者さんを任されたとき、どういう処置をすればいいかわからないことが出てきてしまいました。
思い出してみれば、先輩が「ここは大切なところですから」と指導してくれたところでした。
結局処置ができずに、先輩を呼び出す羽目になってしまったのです。
先輩には「覚えてないってどういうことですか!?新卒じゃないんですよ!?」と非難され、その日から無視されるようになりました。

もちろん、指導を覚えていなかったことを先輩に謝罪したのですが、聞き入れてもらえず、振り返りのレポートや目標管理シートをみてもらえなくなりました。
そのことを主任に相談したのですが、「アナタが悪いんだし」と取り合ってもらえなかったです。
同期からも「30代のくせにダメ看護師」と言われるようになってしまい、イジメられるようになってしまって。
仕事を教えてもらえないばかりか、ミスは全て押し付けられることが続くようになったため、もとは自分のせいとはいえ、限界でした。

スキルアップをしたくて転職したのに、下手なプライドがあったせいで人間関係に亀裂を入れてしまいました。
せっかく転職できたのに、この病院で続けていくのはもう無理です。
次からは年下の先輩にも頭を下げる覚悟で入職しようと、心を入れ替えて転職を考えています。

クリニックに向いてなかった

E.Sさん(35女性)
勤務先:病棟

私は、一度クリニックへ転職したことがある35歳の看護師です。
クリニックに勤務していた時は、常に不安な日々を送っていました。
新規開院のクリニックだったのですが、転職したての数週間は予想をはるかに超える受診数で、ものすごく多忙でした。
私は20代のころからテキパキ動けるタイプではなかたのですが、30代になってからは、診察を早く回せないせいで、心身ともにストレスがたまるようになりました。

クリニックに入職してから、体調不良を起こすことが多くなりましたが、看護師は2人体制のため、自由に休めません。
点滴や採血といった看護処置より電話対応や受付業務が主なことも不安でした。

電話や事務的な接遇は全く経験がない私は自信を持てず、いつもパニックでした。
小さなクリニックでは看護師も受付を兼務することは想定内でしたが、あくまで補助的な立場の想定だったので、電話対応がメインの業務になってしまい、上手に対応できているか不安で仕方なかったです。
誰かに相談したかったのですが、一緒に勤務している20代後半の看護師はすべての業務をスムーズにこなしていたので、30代の私が自分の対応は大丈夫だろうかなんて恥ずかしくて相談できず、一人で悩むことが多くなりました。
そして、次第に眠れなくなっていったのです。

こんな日々が続いていくなら病棟に戻りたいと思うようにもなりました。
でも、30代半ばで短期間で転職をすると、次の職場にいい顔はされない気がして、なかなか転職に踏み切れませんでした。

しかし、心身ともに限界だったので、心療内科を受診し、適応障害と診断されました。
医師には、仕事をすぐに辞めないともっと症状が進むといわれてしまって。
さらに、病棟勤務ができる人はどこでも必要だから、30代の今を逃したらもう転職できないかもしれない。
今の勤務先でダメになる前にキャリアを活かせるところへ転職したほうが私のためだとも言われました。

私は、意を決してクリニックを辞めました。
今は、病棟で少しずつ体調を取り戻しながら働けています。

まとめ

30代の看護師は、即戦力として病院に期待される半面、転職先に馴染めるかが心配になるようですね。
でも、30代まで看護師を続けている時点で、知らないうちに豊富な経験とコミュニケーション能力が培われているはずです。

即戦力として迎えられることをふまえ、これまでに培ったスキルを活かしてぜひ転職を成功させてください。