オペ室で悩み苦しむ4人の看護師 華やかな舞台の裏に存在する闇

オペ室は看護師なら誰もがあこがれる場所です。
でも、華麗な場所ほど裏があります。
意外とオペ室の内情はあまり知られていません。

頻繁に起きる緊急手術
ヤバイぐらいの数の術式
覚えきれないほどの器機や器材の数
クセだらけのドクター

そこで働く看護師はみな悩んでいます。
実際にオペ室で働いている看護師さんの訴えを聞いてみましょう。

看護師の体験談

オペ室の人間関係は最悪だった。

I.Eさん(26女性)

私は、外科病棟からオペ室に異動してきました。
外科では少し物足りず、スピード感のある職場で働きたかったからです。

しかし、スピード感以前の問題が発生しました。
オペ室の人間関係は閉鎖的でドロドロだったのです。

私は配属された直後、看護師の中で一番下にマウンティングされました。
大奥と言えばわかると思いますが、そういう女性特有の環境なのです。
なお、マウンティングのトップにつかさどるのは、経験10年越えのベテランナースでした。
一番下の私は、ことあるごとにいじめられました。
自分のモノが隠されるのは当たり前ですし、大きな声で悪口を言われたこともありました。

「器械出しの順番が悪い!」
「手技が全然なってない。」
「もたもたしないでくれる!」

オペ室って狭いんですよね。
声は響くし、ミスはすぐに気づかれます。
しかし、黙って我慢するしかありません。
そんな中、ストレスでインシデントを発生させてしましました。

翌日から私のあだ名は「人殺し」に確定しました。
インシデントを起こしてしまったのは事実です。
インシデントレポートを書こうにも、ミスの原因を突き詰めようにも誰も手伝ってくれません。
聞きたくても気けない緊迫感と、聞いても攻撃的な空気の中、一体どうしたらいいのか途方に暮れています。

確かに、オペ室の看護師は凄腕ばかりです。
でも、今の私にできることは、最下位にマウンティングされたまま耐え続けることが精一杯です。

オペ室ナースには副業がある

O.Hさん(28女性)

オペ室にきて1ヶ月ほどの看護師です。
オペ室に行こうと思ったのは、オペの介助だけに専念できると思ったからです。
でも、もうすでにオペ室を辞めたいと思っています。

なぜなら、ほかの病棟での副業がいっぱいあるからです。
手術がないときは当たり前のように病棟の応援を強いられます。

人手がりぎりぎりなのか、休みも削って応援にもまわされます。
平日夜間ありの土日開業している病院だったので、本当にキツいです。
休みはいったいどこに行ってしまったのか、もうわからずただ働いています。

そんなとき、師長が入れかわりました。
手術室未経験の師長です。
手術室の大変さがまるでわかっていません。
手術がない日は、翌日使う予定の器機の操作方法を徹夜で復習することもあります。
にもかかわらず、「手術がないから病棟に入って。」の一言だけです。

オペ室は新しい知識を習得するにはもってこいの場所です。
しかし、7:1病棟を確保するために、看護師の頭数に回されがちな場所でもあります。

ハードワークに耐えながら勉強を続けるのか?
それとも、転職してしまうか悩んでいます。

オペ室は時間がわからなくなる場所

A.Dさん(25女性)

私は、都内大手総合病院のオペ室に転職して3年になります。
医師の近くで専門的な知識を身につけたかったからです。

時間が経つにつれ、オペ室にいるだけで恐怖を感じるようになりました。
異常なぐらいオペ室が孤立していたからです。

部屋には窓が1つもなく、日の光を見ることもなければ、ドアの外の院内の空気すら感じることができません。
患者さんの談話する声や、ラウンドのワゴンの音も一切聞こえない空間でした。
1日いると、時間の感覚すらなくなることもあります。

病棟みたいにナースコールなんて当然なくて1日瀕死状態の患者さんの横で、私がやっていたことは、流れ作業のような器械出しばかりでした。
前の職場で清拭した患者さんのぬくもりすら思い出せなくなっていました。

たまたま看護大学時代の同期と話す機会があり、うちの病院が特に閉鎖的なのだと知らされました。
彼女の病院では、オペ室は超開放的。
他の病棟とのチームカンファレンスなんかも頻繁にあると言っていました。
同期も含めたオペ室の看護師が、病棟向けに勉強会を開くこともあり、他部署とかかわりもあることがわかりました。
彼女の話を聞けば聞くほど、うちのオペ室の異様さは増すばかりでした。

オペ室は緊張感もあるしスキルもついていきます。
でも、もっと普通のオペ室で働きたいというのが正直な気持ちです。

同期のいるようなオペ室に転職してみたいという気持ちが日に日に強くなっています。

オペ室は想像以上にスキルが高かった!

Y.Eさん(30女性)

私は、都内の大学病院のオペ室に念願叶って転職を果たしました。
ここなら看護師としてのスキルが生かせると思ったからです。

もうこれ以上、ここで続けていくのはムリだと感じました。
入ってすぐに持ち場につかされたからです。

聞いていた研修はほとんどなく、入った日に数時間オペ室の案内があっただけでした。
プリセプターはいたけど、器械出しから何から、基本自分で考えて動かなければなりません。
しかも、スピードも求められます。
昔勤めていた病棟では、最初はプリセプターがメインで私はサブでしたが、ここでは最初から私がメインでした。

ある日、術中の麻酔の介助をしていると、「私、そんな風に教えたっけ!」と怒鳴りつけられました。
ただでさえオペ室は緊迫感で包まれています。
彼女の声でさらに緊張は高まり、震える手を抑えることしかできませんでした。
家に帰って患者さんの疾患と麻酔薬の効能を照らし合わせノートにまとめたりと必死でした。
でも、オペ室に入ってしまうと、プリセプターのことが気になって整理したはずの手順通りに行動ができなくなっていました。

オペ室にきて1年間、同じ時期に異動してきた看護師と比べ続けられました。
彼女は入って3カ月で外回りもさせてもらえるようになっていました。
私はといえば、1年経ってようやく術前訪問に同行させてもらえる程度。
直介(器械出し)は、1年も経つと半分以上はできるようになってはいましたが、それでも、ドリルの組み立てに時間がかかっていると、医師からも早々にイラつかれる始末でした。

スキルには自信があったのに、ここでは一つも通用しないのだと実感しました。
オペ室は私以上のスキルがあれば即戦力で働ける場所だと今でも思っています。

でも、スキルをいかしたいと思った自分が浅はかだったと今は思っています。

最後に・・・

いかがでしたか?
華麗なオペ室の扉を1枚あけると、いばらの道が広がっていましたね。
そこで耐えながらもがき苦しむ看護師さんがいるからこそ、今日も一つの命が救われているのです。
オペ室の看護師は看護師のあこがれの存在です。
想像を超える経験を積んだ人だけが、ドクターの横に立てる存在になれるのかもしれません。
オペ室の看護師さん、応援しています。