泌尿器科に興味がある看護師のみなさんこんにちは!
私は泌尿器科で働く30代前半の女性看護師です。
泌尿器科では、腎臓や尿道に関する病気を扱います。
患者さんの男女比は3:1で、男性の患者さんの割合がかなり高いです。
尿管や前立腺に関する受診が多いため、女性看護師にとってはなかなか難しい職場でもあります。
診察介助するとき、私より患者さんが複雑な気持ちなんだろうなって思うことが多いです。
そのせいもあってか、泌尿器科は他科と違って男性看護師が多かったりします。
男性看護師だと安心できるんでしょうか?
患者さんからのご指名が多いです。
ちなみに、看護師に男性がいると風通しが良いというか、女性同士のドロドロした感じも少ないです。
ですがやっぱり、仕事のことや患者さんのことでイロイロあります。
そこで今回は、泌尿器科で働く私の同期や後輩の看護師に大胆告白をしてもらいました。
泌尿器科の内情を覗いちゃいましょう!
バルンアクシデント
アクシデントを起こしてしまった。
K.Nさん(34女性)
勤務先:泌尿器科クリニック
私は、新しい技術を覚えたかったので、3年勤めた病棟から転職してきました。
泌尿器科で働き始めて3か月目のことです。
あろうことか、アクシデントを起こしてしまったのです。
バルンがなかなか入らなかったので、押し込んで拡張させてしまいました。
尿の流出を確認せずに。
私がバルンを患者さんに押し込んだ時に痛みは訴えられなかったし、痛くないか確認もしました。
それに、拡張時に抵抗もなかったため、大丈夫だと思ったのです。
でも、何分か待っても尿が出てきませんでした。
不安に思い、先輩に相談すると「尿が出ないのに何で拡張したの?」と言われ先輩に抜去されました。
そうしたら、尿道から出血しました。
患者さんは、尿道を損傷してしまいました。
私は厳しく注意されました。
アクシデントで頭は真っ白。
私はこの先やっていけるのか不安になりました。
その後、先輩に改めてカテーテルについて教わりました。
私を励ますために、失敗談まで話してくれました。
「私はカフを拡張させてもいないのに、出血させたことがある」
でも、先輩はあくまで、医師の指示のもとで処置をしていて。
当たり前ですが、私みたいに勝手な判断で処置をすることはなかったそうです。
それから、私はカテーテルの挿入について必死に勉強しました。
そして、わからないことは、細かいことでも先輩や医師に質問するようになりました。
そのかいがあって、今では後輩に指導する立場にいます。
当時、確認を怠ったせいで患者さんを傷つけてしまいました。
忙しくても誰かに相談することを怠ってはいけないのだと、実感した出来事でした。
今でも、アクシデントの夢を見ることがあります。
一度失敗したことは、なかなか記憶から離れてくれません。
どの科にも共通することだと思いますが、わからないことがあったら決してそのままにせず、確認してから処置をするようにしてくださいね。
業務が肌に合わず、ウツに
回診と尿破棄、陰洗がイヤ
R.Tさん(25女性)
勤務先:泌尿器科
私は、泌尿器科病棟に勤めている看護師です。
人員不足のため、一か月前に内科から異動して来ました。
自分では特に興味を持てる科ではなく、絶対に希望しない職場です。
でも、せっかく声をかけてもらったからには、新しいことを学ぼうと思っていました。
実際には、もう異動したいと思っています。
泌尿器科では、特別なスキルが要求されるわけではありません。
単純に、自分には合わない科だと思いまいました。
回診と尿破棄、陰洗がイヤなんです。
うちの病院は、前立腺肥大での来院が多いため、入院患者さんは8割方男性です。
そのためか回診の時に下着を脱ぐのを恥ずかしがられることがあります。
「男性看護師が来てくれるかと思った」ってあからさまに嫌そうな顔されることもしばしば。
頑張って笑顔作って「ごめんなさいね、今日は○○看護師はお休みいただいてるんで。患部を失礼しますね」なんて言いながら対応します。
私も好きで泌尿器科に来たわけではないので、そんな患者さんが続くと気分良くはないです。
そして、尿破棄に陰洗。
夜勤明けに尿破棄と検尿、フォーレの管理に加えて膀洗、陰洗、導尿の順に仕事が続きます。
ウロなのにウロメセルはなく、畜尿袋と瓶を使っている状態。
先輩に処理の説明を受けた時「なぜウロメセルがないのか」質問したら「経費削減のため」と返されました。
経費削減のために吐きそうになりながら畜尿袋と瓶を触る私っていったい何なのだろうと思ってしまいました。
私は、尿の香りにまみれながら処理をするのが生理的にイヤなんです。ワガママだと思うけど。
最近では、仕事の影響で自分が用を足した後でさえ、尿の香りで吐き気を催すようになりました。
異動して日が浅いし、私なりに泌尿器科を勉強したかったです。
ですが、出勤するだけでもやっとな現状。
そろそろウツになっている気がするので、近々心療内科を受診する予定です。
尿破棄がイヤなんてさすがに師長にも言いづらいです。
「泌尿器科は難しくてそろそろ限界」とでも理由を付けて内科に戻してもらいたいと思っています。
疲れた末の泌尿器科
さわやかな人間関係
M.Tさん(25男性)
勤務先:泌尿器科クリニック
僕は、内科と外科を経験した男性看護師です。
憧れの総合病院へ入職できてやる気満々だったのですが、ドロドロすぎる人間関係に耐えきれず、転職しました。
三角関係や不倫の話は日常茶飯事だし、年上の女性看護師が年下の女性看護師をイジメていたりで性に合わなかったです。
仕事内容にはまったく不満はなかったので、少々悔しくはありましたが。
転職先は泌尿器科クリニックを選びました。
心身共に不調をきたしていたので、夜勤のないクリニックに勤めようと思いました。
仕事内容は一般の診療科と同じように、診察や検査の介助をします。
患者さんは男性器の悩みだとか男性特有の悩みで来られる方が多いです。
男性の陰毛の剃毛や前立腺生検の介助もありますから、異性に看られるのがイヤだということがあるじゃないですか。
患者さんには「男の看護師で安心した」と言われることが多いのでうれしいです。
中年男性が多いので、息子のように思ってくれる方もいて「頑張っとるな」とのお声をもらうことも。励みになりますね。
指名も結構入りますし(笑)。
女性看護師がセクハラ発言で困っているときに助けに行くこともあるので、頼りにされるんです。
そんなこんなで、他の科と違いとても働きやすいです。
泌尿器科は、一般科と違ってオペ介助や日常生活援助があるので、スキルアップもできますよ。
時には、内視鏡を使うオペもありますね。
僕の場合、総合病院での人間関係に疲れてしまったので泌尿器科クリニックを選びましたが、ここで経験を積んだら、泌尿器科の病棟への転職も考えています。
給料も結構いいし、将来結婚することがあったら夜勤ができる環境のほうが生活に困らないと思うので。
セクハラされて!?
セクハラ発言の根底にある気持ち
U.Hさん(29女性)
勤務先:泌尿器科クリニック
私は、泌尿器科3年目の看護師です。
子育てからの復職で勤務し始めました。
面接の際に「旦那さんなんて言ってるの?本当に大丈夫?」と院長に何度も心配そうに確認されました。
私は、家から近いところへ勤めたかったので、特に気にもしませんでした。
泌尿器科は、尿管や膀胱などに関する病気を扱っています。
患者さんの性別は、圧倒的に男性が多いです。
女性が同じ部位に病気をしても、婦人科へ行く割合が高いので、基本的に患者さんは男性なんです。
私も、入職当時はまだギリ20代だったので、患者さんからしたらちょっかいをかけたくなる微妙な年齢だったのでしょうね。
泌尿器科では、言葉のみのセクハラを受けました。体を触られたことはありません。
実際、はじめは男性器を看るのがどうというより、患者さんのセクハラ発言に対して「キモイ、怖い」と思ったことはありました。
一緒についてくれた先輩看護師が、患者さんに「新人の子だから、あまりイジメないでね」とフォローをしてくれたので、その場の空気は悪くならずに済みました。
診察介助の後に先輩から改めて先輩に教わったのですが、患者さんは照れ隠しでセクハラ発言を連発するみたいです。
泌尿器なので、患者さんは下半身を検査しなくちゃならない。
でも、看護師の前で下半身を露出するのって、患者さんからしたら拷問だから、セクハラ発言でもしてないと自分の立場がないように感じる方がいるのだとか。
ベテラン看護師だと、患者さんにセクハラ発言をされても「不安ですよね、わかります」と患者さんに寄り添うスキルがあります。
20代から30代の若い看護師が担当だと患者さんはより恥ずかしくて、ベテラン看護師より余計にセクハラ発言をしてしまうとか。
うちの泌尿器科には男性看護師もいますが、ご指名がとても多いです。
やはり、男性の病気は男性に看てもらいたいという気持ちが強いのでしょうね。
自分が患者さんの立場だったら、やっぱり女性の看護師に看てもらいですね。
できれば、先生も女性がいいし。
私も泌尿器科にいるからには、早く患者さんに頼られて、一緒に冗談を言えるようになりたいと思うようになりました。
説明不足の反省
H.Oさん(30女性)
勤務先:泌尿器科
私は、病棟経験後、泌尿器科に転職した看護師です。
夜勤に疲れたので、日勤だけの職場を探してきました。
私が入職してすぐ気になったのが、検査介助です。
泌尿器科だから、下半身を看ることは気にはなりません。
ですが、腹部を診る検査の時にわざわざズボンを膝まで下げる患者さんがいました。
腹部の超音波検査の時も腰やお尻への注射の時も、膝まで下げられて。
不快なので、先輩に解決方法はないか相談してみました。
そしたら「お腹が出てれば検査できます」って言ってる?と反対に怒られました。
必要のない部分まで患者さんが露出してしまうのは、ほとんどが看護師の説明不足によるものだとも言われました。
それからは、検査に必要な部位について話して脱衣をしてもらうようにしました。
例えば、腹部の検査では、少し腹部を診るだけなので「お腹が見えていれば大丈夫です」と説明をしています。
そうしたら、ほとんどの人はお腹を出すだけになりました。
たまに腹巻を下げるのに下着も一緒に下がっちゃうこともありますが(苦笑)。
中には、説明しても下半身丸出しで腰に手を当ててポーズをとっている確信犯的な患者さんもいます。
私は、患者さんの脱衣の時には最初からバスタオルを用意しています。
検査に必要のないところは隠す。特に顔色変えずに対応します。
疾患によっては剃毛しなければならないこともありますから、特にたじろぎはしないですね(笑)
先輩に説明不足だと指摘されたことで、患者さんへの丁寧な説明が必要だと改めて認識しました。
確かに、セクハラまがいのことをしてくる患者さんもいますが、大多数は病気を治したいだけの患者さんです。
そんな患者さんに誠実に向き合っていこうと思えた出来事でした。
まとめ
泌尿器科の看護師の内情をおわかりいただけたと思います。
男性特有のデリケートな悩みを抱えている方の受診が多いため、精神的なケアや羞恥心への配慮は必須です。
また、男性看護師が多い分、人間関係においては比較的風通しが良いのが魅力の科です。
泌尿器科は、患者さんと真摯に向き合いながら仕事をしたい人におすすめです。転職、頑張ってくださいね。