新人でも転職出来る? 転職を決意した6人の新人看護師の話

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看護師の多くは悩みを抱えながら働いています。
中でも新人看護師は、慣れない環境で頑張っているのではないでしょうか?
「新人看護師はこんなにキツいの?」
「入ったばかりでやめれるの?」
「3年は続けるように、言われた……」
「他の人はどうしているんだろう?」
そんなことを考えていませんか?

ここでは、新人の時に転職をしたことがある看護師の体験談を集めました。
新人看護師が、転職する理由は何だったのでしょうか?

誰かの言葉に動かされて転職した話

病名告知についての悩み

R.Oさん(25歳女性)
当時の勤務先:総合病院

私は、総合病院に勤めて1年の新米看護師です。
この病院に勤めて、悩み続けていることがあります。
それは、患者さんに病名を告知しないということです。

私は一カ月の間、癌の患者さんを担当しました。
本人は、病名を告知されないまま亡くなりましたが、担当した一カ月の間。
「これ、どんな病気なのかな?」
「自分は、どうなりますか?」
と、不安を殺した笑顔で尋ねられましたが、自分で勝手に病名を告知することはできません。
「大丈夫ですよ、一緒に頑張りましょう」
その言葉を、笑顔で返せたかどうかは今でもわかりません。

結局、その方は数日前に亡くなられました。
もうすぐ亡くなる患者さんが「今日は調子がいい」と言ってくれた時、辛くてたまらなかったです。
それからずっと、「病名は告知すべきだったのではないか?」と悩んでいます。
病名告知は繊細な問題です。
その患者さんだけでなく、家族との問題にもなりかねません。
ですが、私はその患者さんに病名と向き合って、そのうえで看護を行いたかった。
病名告知を行うことで、より強く病気と向き合っていけると考えているからです。

その考えも自分本位ではないかと思い、悩み続けて、思い切って友人に相談してみました。
その時、会社勤めのの友人から「一度、転職して病名告知をしている病院に勤めてみては?」と勧められました。
何気ない一言でしたが、言われてみれば私は病名を告知する現場を知らないです。
同じ病院に居て、同じことをずっと悩むくらいなら、いっそ転職してみようと思いました。
きちんと病名告知について知ってから、病名告知に向き合っていきたいと思っています。

◇ひとこと
すごく悩んだ人なのかな、と感じてしまいます。
患者さんに対する姿勢がすごく真摯にも思えます。

父の思わぬ一言で

G.Yさん(26歳女性)
当時の勤務先:急性医療

看護師二年目、急性病棟に勤めています。
今の病院に勤めるのが辛く、転職を考えています。

理由は、忙しいからです。
勤めている病院では、一人当たりだいたい5人から7人が平均的な患者の受け持ち数です。
しかし、私はほかの看護師より多い10人の受け持ちがあります。
急性期なので一人一人の病状に繊細な注意が要求され、キツイです。

また、朝の申し送りが多く、時間も30分を超えて続くので、立っているのが辛いです。
それによって、午前中の検査時間や清掃時間が必要時間を確保できず、休憩を削ります。
休憩時間は、前半と後半で分かれており、食事時間が決まっているのですが、仕事が終わらず休憩が取れません。
毎朝起きるのが辛く、キツいと悲鳴を上げる心と体を殺して仕事をします。
ですが、集中力が切れてきて、うっかり医療ミスにつながるのではないかと不安です。

もう我慢の限界だ、だけど、すぐに辞めるのはどうなのか?
色々と悩みましたが、一人で抱えているのも辛くなり、管理職の父に相談しました。
すると、「新人でも辛いとさっと転職する子もいる」と言われ、目から鱗でした。
転がる石には苔が生えぬ、という諺があるそうです。
昔は一カ所にとどまった方がよいという意味でした。
ですが、今の転職市場にとって、一か所に留まると活動的に見えないという意味で言われるそうです。
一か所に落ち着かないことが、辛抱できないという考え方は、昔のもののようです。

なので、辛いのを我慢せず転職をしようと思います。
我慢に我慢を重ねて、一か所に留まることが本当にいいことだと思えません。

◇ひとこと
辛いとき、逃げ出したくなる気持ちはすごくよくわかります。
急性病棟だと何かとピリピリしていますし……。

患者さんに励まされて

K.Dさん(29歳女性)
当時の勤務先:民間病院

私は、看護師として5年目になります。
自分は新卒の時に、現在の病院に転職した経験があります。
看護師だって一人の人間ですから、自分に合った職場に転職するのはアリだと思います。
誰だって、できるだけ良い環境で働きたいですよね!

私が転職を決めたきっかけは、いじめられていたところを患者さんに助けてもらったからです。
いじめのきっかけは、最初に配属された先のプリセプターと合わずに、プリセプターの変更を申し出たことでした。
しかし、それが生意気だと思われたらしく、プリセプターは変更されず、翌日からいじめにあいました。
休憩室の荷物が荒らされたり、質問を無視されたり、複数人でやる介助を一人でやらされたりしました。
それに文句を言うと、「新人のくせに生意気な!」と罵声を浴びせられました。
辛い日々が続き、最初は負けん気で頑張りましたが、誰も味方はおらず、かといって転職も安易に決定できず悩む日々でした。

あるとき、休憩室で何されるかわからなくて病院の中でオロオロしていたら、ある患者さんに声をかけてもらいました。
その人は、何となく事情を察してくれていたのか、自分の病室に私を招き、話を聞いてくれました。
驚きながらも、いじめられていることを話すと、一つのアドバイスをくれました。
「新人へのいじめは大人が子供をイジメるのと同じです。そう考えるとここの先輩たちがどれほど愚かかわかるでしょう?」
「愚かな先輩たちに付き合う必要はありません。他の病院に移って1からやり直しなさい。あなたはもう十分頑張りました」
その言葉に、今まで悩んでた気持ちや辛かったことががあふれ出て、泣いてしましました。

その言葉がきっかけで、転職をし、代えがたい職場を手に入れました。
今のところは、先輩が積極的に悩みを聞いてくれたり、仕事ことを丁寧に教えてくれます。
病棟全体で新人を育てようとしているのが伝わってきて、こちらも頑張ろうという気になれます。

新人だからといって、不条理な圧力に耐えていたら身がもちません。
どんどん転職すべきだと思います。

◇ひとこと
新人の時、悩みを聞いてくれたり、相談に乗ってくれる人は貴重です。
仕事も丁寧に教えてもらえるのは、定着しやすいのではないかと思います。

母に一喝され

O.Iさん(25歳男性)
当時の勤務先:急性期病院内科

大学卒業後、400床以上ある急性病院の内科で勤務していました。
というのも最初は有名な病院で経験を積んでみたいと思いそれが実現したからです。
しかし、私は一カ月でその病院を辞めてしまいました。

なぜなら、精神を病んでしまったからです。
患者さんの量に対して、看護師が不足しており、毎日の残業が当たり前だったからです。
新人なので覚えることが多く、残業して帰宅後も持ち帰らされた課題をこなす日々が続き、休日も勉強と出勤で辛くて泣いてしまいました。
さらには、辛くて泣いたことをプリセプターに相談したら、「あいつ男のくせに泣いていたぞ!」と職場全体に悪口を広められました。
それでも、患者さんと笑顔で接するということを信念に頑張っていましたが、師長に「くだらない信念だよね」と言われました。

師長やプリセプターが私にそう接していたからか、先輩の看護師からのいじめ始まり、職場に行くたびに涙があふれます。
朝は腹痛と嘔吐にさいなまれ、職場ではストレスを感じ、リフレッシュする時間も残業と勉強で取れない。
見かねた母が「嫌ならやめてもいいよ」と言ってくれましたが、基礎も分かってないのに転職する不安を感じ、うじうじと悩みました。
そんな私に「泣きながら病院に行く根性はあるのに、転職する根性はないのか!」と母が一喝。
言われてみればそうだと思い、転職を決意しました。

確かに、自分の基礎が確立してないうちに転職するかどうかすごく悩みます。
でも、精神を病んでまで続けるというものおかしな話です。
転職後は、転職前にあった嘔吐も腹痛も無くなりました。
新しい職場で前向きに勉強しつつ、一人一人の患者さんと笑顔で接することができています。

◇ひとこと
いじめ、というのは何がきっかけで始まるかわかりません。
学校もそうですが、閉鎖された環境というのは、人間関係がすごく大事です。
イジメられている時「嫌ならやめていいよ」と言ってくれる人は貴重ですね。

ここまでのまとめ
多くは友人だったり、血縁者に相談してるみたいですね。
中には、患者さんに励まされたりする人もいるようです。
看護師以外の方からの思わぬ優しい一言で泣いてしまうことも……。
人間関係で疲れている分、優しい言葉をかけられるとついうなずいてしまいそうになります。
どうしようか悩んでいる時、誰かが背中を押してくれるといいですね。

思わぬきっかけで転職し状況が好転した話

つい、面接で悩みをぶちまけた結果……

A.Hさん(24歳男性)
当時の勤務先:国立病院

私は、1年未満で国立病院から転職した看護師です。
現在は、民間病院で働いていますが、転職してよかったと思っています。
なぜ、転職を決行したかというと、人間関係が嫌だったからです。

例えば、先輩や師長は雑用が新人の仕事だと考えています。
なので、割り振られた仕事以外に雑用が押し付けられます。
その量が多く、自分の持ち時間内で処理できません。
特に、自分は男性だったので、ちょっとしたものの持ち運びを「命令」されます。
ほかにも、汚物の処理や、食事介助や入浴の際の介助といった、人がやりたがらない仕事をピンポイントで振られます。
今のままだと自分のスキルアップにもつながらない、なにより患者さんとも接触が少ない。
看護師の仕事が嫌ではないが、人間関係の雰囲気にすっかり嫌気がさして、どうすればいいか悩む日々でした。

そんな時、他の職場の雰囲気も気になり、今の病院の面接を受けたのですが……。
「当院を選んだ理由を教えてください」と言われ、何かがぷっつり切れました。
とにかく、あの人間関係と成長のない環境は嫌だ! 
と思っていたことを全部ぶちまけた結果、その場の全員の印象に残ったらしく採用されました。
当時面接を担当した先輩から「強烈なインパクトと熱意を感じた」といまだに言われます。

今は、師長さんに「新人さんは学校で一番新しい知識を学ぶから大事なんだよ」と言われる環境です。
また、「悩みがあったら相談してね」と言われ、人間関係の悩みも解消され、日々教わりながら自己成長を感じています。

結論として言うと。
新卒でも納得できないことや、悩みがあれば声に出すべきです。
少なくとも、自分はそれで新しい良い環境を手に入れました。

◇ひとこと
面接みたいに心が緊張状態の時、終わった後ふっと力が抜けます。
どうやら面接中にそれが起こったようですね。
結果的にいい方向に動いたのは良いことです。

悩みながら転職活動をした結果

H.Yさん(24歳女性)
当時の勤務先:クリニック

私は、看護学校を卒業してすぐクリニックで働き始めました。
働き始めて半年になりますが、転職活動をしています。
なぜなら、現在のクリニックに勤めるのが辛いからです。

理由は三つあります。
1つは、先生の雰囲気が悪いことです。
すごく短期で、何かにつけて看護師を怒鳴り散らします。
看護師が先生に呼ばれてすぐ来なかったという理由で患者さんの前なのに机を激しくたたいたりをします。
毎日怒鳴られるのは精神的に辛いです。

2つ目は、職場が忙しく先輩看護師から放置されています。
クリニックには処置室があり、採血や点滴を行うのですが、未だに教えていただけません。
教えていただけると言ってから、もう半年になります。
時折うかがっても「今忙しいからダメ」としか言われず、職場に対して不満が募ります。

3つ目は、師長に嫌われていることです。
師長に業務の相談をすると、「とりあえず問診をしていてね」としか言われません。
何を聞いてもはぐらかし、あからさまに避けられています。
また、時々師長はこちらを見てひそひそと他の看護師と話しています。
何が悪いのかも分からないまま、時間だけが過ぎていくのが辛いです。

辛い毎日から逃れるために、精神的な逃げ場所を作る意味で転職活動を始めました。
職場関係で悩みながら活動しましたが、いくつか行きたい病院も見つかりました。
結果的に、転職活動を始めてみたのがよかったです。
もし似たようなことで悩んでいるのなら、他の環境に目を向けてみてもいいかもしれません。

◇ひとこと
つらいと思って、他の求人を見始めることは看護師に限らないと思います。
その時、他の職場と今の職場をつい比べてしまいます。
いい求人もひょっとしたらあるかもしれませんし……。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
新人看護師さんの悩みは多く、つい抱え込んでしまいがちです。
慣れない仕事や環境で働き始めて、それを相談できずにため込んでしまうケース。
職場でのいじめや、自身のスキルアップに繋がらずにストレスを増やしたケース。
かと言って楽になるために安易に転職をするのはいかがなものか、と思いがちです。
しかし、新人看護師のうちの転職は悪いことばかりでもないようです。
思い切って転職するのも一つの手段です!