7つの体験談から学ぶ 看護師のインシデントの乗り越え方

1年目看護師だけでなく、誰にでもインシデントはつきものです。
そうとはわかっていても、いざ起こしてしまうと落ち込みますよね。

「どうして同じような失敗ばかりしてしまうんだろう?」
「もうミスしたくない!どうやって対策すればいい?」
「大きなインシデントを起こしてしまった。どうしたら立ち直れる?」

今回は7人の看護師の様々な事例と共に、インシデントの対策と辛い体験を乗り越える方法をお伝えしていきます。

まずは原因を分析しよう

うっかりミスは原因ではない!

K.Tさん(20代女性)
当時の勤務先:神経内科

3年目の看護師です。
今の病院では働き始めて半年が経ちました。

この半年の間に立て続けにインシデントを起こしてしまっています。
カルテの記載ミス、誤薬、点滴への薬剤注入忘れなど…すべて私の確認不足でした。
うっかりミスばかりして、自分にはきっと看護師の適性がないのだと落ち込みました。
しかし先日、師長に「同じようなミスを繰り返すのは、本当の原因がわかっていないから。うっかりミスで片づけてはいけない。」と言われました。

そこで師長と共に振り返ってみてわかったのは、それぞれに対し「どこを確認すればよかったのか」理解をしていなかったということです。
私は日常生活では、とりわけ注意力散漫というわけではありません。
つまり、看護業務に対する知識不足・リスク管理ができていないことが原因だったのです。

まだまだ勉強が足りない、もっといろいろな可能性を考えながら業務に取り掛からないといけないのだとわかりました。
適性は問題でなく、起こしたインシデントとどうやって向き合っていくのかが大切なのだと思います。
これからは絶対に同じミスは繰り返すまいという気持ちで、リスク管理を行っていきます。

行動ミスと確認ミスを振り返る

N.Bさん(30代女性)
当時の勤務先:総合健診センター

看護師8年目、現在転職し健診センターにて勤務3カ月目です。
先日、看護助手と2人でついていた内視鏡検査にてインシデントを起こしました。
助手が分担していたカメラ交換を忘れた上に、私が担当医に話しかけられたことで、内視鏡画面で患者名を確認し忘れてしまいました。
そして検査終了後、画面と実際の患者名が異なっていることに気が付いたのです。

その後、スタッフ全員でのインシデントカンファレンスの場で、助手に一方的に確認を怠った私のせいであると責任を押し付けられました。
結局その話し合いでは私の確認不足に対する改善案ばかりが挙がりました。
カメラを交換したか助手に確認することと、患者名を声出し確認することが私には言い渡されました。
助手のミスについては「人間である以上忘れてしまうのは仕方ない」としか触れられませんでした。

確かに、最終的に私がチェックできていれば防げたことでした。
誰にでも忘れることはよくあり、確認を強化することが一番の改善策であるのは間違いないでしょう。
しかし、根本の原因である行動ミスを見逃してはいけないのではないでしょうか。
看護助手であろうと、2人で現場に立っている以上は「行動」と「確認」の2つの柱でミスを防がねばならないと思います。

インシデントを分析すると見えてくること

M.Tさん(20代女性)
当時の勤務先:循環器内科

看護師4年目です。
私は新人時代に立て続けに何件ものインシデントを起こしたことがあります。
確認事項が漏れて何度もミスを繰り返しては、次気を付けることを付箋に書いて机に貼ったりしていました。
それでもまた新たに別のミスをしてしまうんですよね。
いつか大きな医療事故を起こしてしまうのではないかと、自己嫌悪で苦しかったです。

でもこれは誰しも通る道だと当時の先輩たちに励まされたことで、少しずつ前を向いてミスを分析できるようになっていきました。
私の確認不足は焦っているから、業務についていくのにいっぱいいっぱいで気持ちに余裕がなかったからだとわかりました。
これがわかるだけで一呼吸おいて仕事ができるようになったように思います。

余裕があるときには他の人のインシデントも分析しました。
輸液を早く落としてしまうミスが多い人、採血の患者を間違えてしまった人、それぞれのチェックの甘い箇所や性格まで見えてきます。
そうすることで自分のし得るミスも予見できました。

次第に多かったインシデントも落ち着いて今に至ります。
この経験を踏まえて、今では自分がプリセプティーを励ます立場です。
もちろん今でもミスがゼロというわけではありません。
命を預かる仕事だからこそ、ミスを恐れるのでなくミスから学ぶ強い気持ちを持ち続けることが必要なのだと思います。

インシデントを予防するには

自信を持って看護するために

U.Dさん(40代女性)
当時の勤務先:消化器内科

40代の看護師3年目です。
最近になってドクターへの指示確認漏れなどのインシデントが続いており、患者さんと向き合う自信をなくしておりました。
先日には点滴ミスを起こしてしまい恐ろしくなりました。

イレウス疑いの患者さんの血圧が下がらず、ペルジピンの投与を開始したときのことです。
先輩から開始速度を聞いていたのですが、「1.0/h」のところを「0.1/h」と聞き間違えたまま開始してしまったのです。
血圧は落ち着いたものの、1時間後に他の先輩の指摘で気が付きました。
0.1なんて少量での開始はあり得ないのに、それに気が付かなかった自分にゾッとしました。

それからは、施行する前に再度指示確認をし、他の看護師との声出し確認を心がけています。
思い込みや聞き間違いなどのミスを防ぐことで、自信を持って看護できることにも改めて気づきました。
心の余裕があればミスは減りますし、笑顔も生まれます。
インシデントへの万全な対策は、胸を張って笑顔で患者さんと接するためにも欠かせないことなのだと思っています。

職場の人間関係も大切

E.Aさん(20代女性)
当時の勤務先:小児科

2年目ナースです。
今の病棟では5カ月勤務しています。

1年目の頃の職場は、人間関係がドライでほとんど馴染めませんでした。
先輩たちが丁寧に教えてくれることもあまりなく、冷たい印象でした。
ミスも多く、看護師に向いていないのではないかと悩みました。
更にはそれで先輩たちに陰口を言われているような気がして、いつもビクビクしていました。
辛くて、結局1年で転科しました。

今の職場は雰囲気も良く、先輩たちと話す機会が増えました。
ミスも減ってきて順調に働いていました。
先日1つインシデントを起こして、やはり落ち込みましたが、先輩たちの優しい言葉もあって立ち直れました。

1年目だからミスが多かったというのもあると思いますが、職場の雰囲気や精神状態もインシデントには関係あるのではないでしょうか。
ミスしないように常に気を張って、周囲を気にしてビクビクしているとかえってミスが起こりやすいのだと思います。
何より自分が辛いので、インシデントを起こさないためにも職場で良好な人間関係を築いておくことも必要だと感じています。

失敗から立ち直るには

前向きに自分をコントロールします

G.Nさん(30代女性)
当時の勤務先:精神科

5年目ナースです。
先日患者さんに、似た苗字の別の患者さんの薬を誤って服用させてしまいました。
眠剤が入っていたので、一晩中気が気じゃありませんでした。
その患者さんは大事には至りませんでしたが、もう5年目になるのに…とさすがに落ち込みました。
しかし、少しの間落ち込んで、すぐに切り替えましたよ。

私も新人時代は、度々失敗してはいつまでもくよくよしていました。
「患者さんを危険な目に合わせてしまった」という罪悪感も当然ありました。
でも、そういう時にはどうしても「先輩たちの視線が痛い」「患者さんからのクレームが怖い」など、自分の保身や周りの視線をつい気にしてしまいました。
これでは患者さんのためにはなりません。

今では、ミスして落ち込んだ時は「自分のためでなく、患者さんのために立ち直らなくては!」と思うようにしています。
まず失敗を振り返り、「次はどこに気を付けるか」さえ明確にできれば、これで良しとしています。
引きずってしまいそうな時には、「次はこれに気を付ければいいんだから、もう悩まなくていいんだ。」と自分に言い聞かせます。
逆に次反省を活かせたら、思いっきり自分を褒めて自信に繋げます。

悩み続けることは、自分のためにしていることであり、患者さんのためにはなりません。
しっかりと切り替えて意識的にポジティブになることも、看護師の仕事のうちだと私は思っています。

インシデントは共有すれば役に立つ!

M.Mさん(20代女性)
当時の勤務先:循環器内科

循環器内科の看護師5年目です。
先日、夜勤の時に点滴インシデントを起こしてしまいました。
フォローについていた1年目の新人が予定より2時間早く点滴を落としてしまったのです。
完全に私の確認不足が原因です。

後輩指導する立場なのに、とても恥ずかしく落ち込みました。
特に、後日行われるインシデントカンファレンスが憂鬱で、先輩だけでなく後輩からも「もう5年目なのに…」「あの人、先輩なのに…」と思われるのではないかという恐怖でいっぱいでした。

しかし、落ち込む私に気づいた師長に「確認不足は誰にでも起こりうること。何年目だって失敗くらいあるわよ。」と励まされました。
「カンファレンスを行うのは、決して晒し上げる目的ではなくて、皆の役に立つためなのよ。」と言っていただいて、ホッと胸をなで下ろしたのを覚えています。
師長曰く、報告書の多い病院こそ、再発を多く防げる良い現場だそうです。
逆にインシデント報告の全くない人ほど危険であると。
時には隠したくなるようなミスもありますが、インシデントはどんな些細なことでもたくさん上げて共有すべきだと思いました。

確かに、人間は集中力がいつまでも続くものではないし、忙しいこの仕事では誰でもインシデント起こす可能性はあります。
もちろん起こさないに越したことはありませんが、ミスをしたら必ず次に繋げるいい機会だと思うことにしました。
誰でも失敗しながら成長していくものですよね。

まとめ

様々なインシデントの体験談を見てきましたが、いかがでしたか。

同じ失敗を繰り返さないために、まずは原因をしっかり分析することが第一です。
更に職場で共有することで、自分だけでなく現場全体で大きな医療事故を防ぐことができます。

気持ちに余裕がないのも原因の一つです。
落ち着いて一つずつ作業を確認できるといいですね。

次にすべきことがしっかりとわかったら、前向きに切り替えられるのではないでしょうか。
患者さんのために、インシデントを乗り越えて成長していけるといいですね。