眼科の業務って難しいの?
はい。眼科は、看護スキルだけでなく、検査スキルを求められます。
一般科よりはるかに奥深くて難しいです。
では、実際はどんなふうに難しいのでしょうか。
眼科に勤務している先輩の悩み体験談を集めてみたので、紹介していきます。
訴訟を起こされた
訴訟に発展することも。
U.Uさん(35女性)
当時の勤務先:眼科
私は、総合病院の眼科に転職しました。
病棟経験が12年を迎え、新しい疾患を学びたくなったからです。
でも、半年でクビになりました。
12年の慣れが災いして、確認を怠ったからです。
患者さんの瞳孔をアトロピンで散大させてから診察を受けてもらうとき、左右を間違えてしまいました。
そのため患者さんは、両目を散大することになってしまいました。
アトロピンで散大すると、瞳孔が元の状態に戻るまで数日を要するのです。
結果、患者さんは車の運転ができず、仕事ができなくなりました。
その時は頭が真っ白になりました。
泣きながら謝罪をしましたが、「謝って済む問題じゃない。休業補償をしてもらいたい」と、訴訟にまで発展してしまいました。
眼科で働くなら、眼の構造から脳の関係を把握することはもちろんのこと、体の変化が影響する目の病気も学んでおく必要があります。
眼科で扱う疾患は繊細です。
検査をするときは、かなりの慎重さが求められます。
私は、忙しいのを理由に、確認を怠りました。
本来、少しでも不安があったら、先輩なり同僚なりを捕まえて、問題ないか確認してからすべきだったのに。
患者さんや病院に迷惑がかかり、とても後悔しています。
もう、看護師として働くことはないと思います。
職場環境が最悪
感染対策がないクリニック
D.Eさん(36女性)
勤務先:眼科クリニック
私は、病棟を15年経験したあと、眼科クリニックへ転職しました。
妊婦でも働ける環境だったからです。
ですが、転職は失敗だったと思っています。
そのクリニックでは、感染対策が無かったからです。
トライアルレンズは使いまわすし、看護師は素手で患者さんにコンタクトを装着。
備品として手袋もありません。
患者さんから私への細菌やブリオン病などの感染リスクがあるし、私から患者さんへの感染リスクもあります。
何より、トライアルレンズを使いまわしているので、患者さんの間での感染リスクもあるはずです。
医師や先輩に聞いても、「コスト削減のため」と対策をしてくれないので、不安で夜も眠れません。
せめてもの抵抗に、洗浄からオートクレーブにかける前までは勝手に処理をしています。
もちろん、私が休みの時はほったらかされていますが…。
そして先日は、ついに採血までも素手でやらされました。
もう、このクリニックの体制についていけません。
妊婦でも働ける職場はありがたいです。
でも、感染対策が無いのはあまりにも怖いので、退職を考えています。
看護師の存在意義
S.Kさん(28女性)
勤務先:眼科クリニック
私は、病棟を7年経験したあと、眼科クリニックへ転職しました。
ラクだと聞いたからです。
まだ入って1か月ですが、もうやめることにしました。
看護師のやることがないからです。
なぜか受付の人が介助や検査をします。もちろん、無資格です。
看護師は、点滴と注射のためだけに雇われています。
私のクリニックの仕事を友人に話すと「超ラクじゃん!眼科スキルはつかなそうだけど、うらやましい!」と言われます。
では、他の眼科クリニックではどんな仕事をしているのかを聞いてみると「基本は検査。検査ばっかりだよ!」と言われました。
私としては、検査ができるなんて羨ましいです。
話を聞いているうちに、検査もできないなんて眼科にいる意味があるのか?と思えてきました。
働くうえで、ラクなのは大変ありがたいのだけど、
ココまでやることがない状況だと、看護師の存在意義を考えてしまいます。
点滴と注射だったら他科でもできるし、転職するとしても、眼科で学んだことを何も言えないのはどうかと思っています。
すぐにでも辞めようと思って、他の眼科を探しています。
大変すぎる
検査に疾患の勉強に
B.Mさん(30女性)
当時の勤務先:眼科
私は、看護師10年目になりました。
もっといろいろな疾患の知識をつけたいと思い、近所の眼科クリニックへ転職しました。
でも、辞めたいと思いはじめています。
勉強が大変だからです。
眼科は初めてなので、ある程度は覚悟していました。
眼科は看護より検査がメインです。
視力検査や眼圧測定の器機のことを覚えるだけでも手一杯なのに、疾患の勉強も必要です。
疾患も様々で、軽いものには結膜炎や炎症など、目薬で治る病気があります。
緊急のものは、急性高眼圧症みたいに、急いで圧を下げないとサイアク失明するものもあります。
他にも、塩素系のハイターとかは、目に入ると角膜を侵します。
角膜が白濁して、角膜移植をするしかなくなる事があります。
ボールが当たる、ひどいケンカなども眼窩骨折とかの手術が必要になることもあります。
こんな風に、疾患に対しての勉強は何とかできているし、仕事を続けていければ、もっといろいろな疾患の知識はつくと思います。
でも、寝ても覚めても勉強ばかりでヘトヘトです。
この状態が続くようなら、体がもたないので、辞めようかと思っています。
給料が低かった
転職失敗
A.Nさん(36女性)
勤務先:眼科クリニック
総合病院の病棟で15年経験を積んできた看護師です。
新しい技術を覚えたかったし、総合病院以外の空気も吸ってみたくて、眼科クリニックへ転職しました。
でも、失敗しました(泣)
まず、給料が低い!!
眼科って、検査の器械がたくさんあるんです。だから、クリニックも設備投資をするんですね。
そのしわ寄せが人件費だって事務の人に聞きました。
でも、総合病院の眼科なら、ならそれほど低くないみたい。
あと、看護スキルが落ちます。
眼科は、検査がメインなので、看護より器械操作が多くなります。
採血や注射は、ないことはないといった感じです。
看護スキルを維持するためには、自分で外部の研修に出たり、勉強していないとキビシイです。
眼科クリニックは患者さんが多いですね。
待ち時間にイライラされると、患者さんをなだめなきゃいけないし。
そして、診療時間内に診察が終わらないので、残業もかなりあります。
忙しくて大変です。
眼科クリニックは…
設備投資のために給料が低い。
検査が中心なので、看護スキルが落ちる。
忙しい。
こんな風だったので、最悪でした。
看護スキルが落ちる前に、総合病院に戻りたい…。
先輩にうんざり
やる気のない先輩
O.Gさん(24女性)
勤務先:眼科
私は、3年の病棟経験のあと、眼科へ異動しました。
うちの病院は、3年ごとに異動がある職場だったので、定例のことでした。
眼科は覚えることが多いと聞いていたので、ワクワクしていました。
でも、毎日先輩にうんざりしています。
先輩がやる気なさすぎなんです!!
視能訓練士がいないので、看護師が検査をしてメガネやコンタクト合わせをしなければいけないのに、患者さんを放っておいておしゃべりしてるし。
カルテも全く読めないのに、勉強するわけでもありません。
先輩がいても私がいないと仕事が回らないこともあります。
医師から患者さんの看護についてアドバイスをもらう時「○○さんたちに、せめてカルテくらい読んでもらいたいと言っといてくれ」と私にクレームが来ることもしばしば。
「カルテくらい読めるようになってください」と先輩にお願いしてみても「めんどくさいし」と言われ、まったく進まず。
何なんですかね、この職場。
眼科はイロイロなことを覚えられる職場です。
でも、好きで異動したワケじゃないから、興味もやる気もない先輩が多くて、一緒に働いていて腹が立ちます。
先輩は、早く眼科から異動したいと言っています。
私も、先輩には早く異動してもらいたいです。
悩みが解決した先輩
眼科は大変だけど、慣れれば楽しい
T.Aさん(32女性)
勤務先:眼科
私は、眼科へ転職した看護師です。
スキルアップのため、病棟から異分野へ来ました。
私が勤めている病院は、検査を担当してくれる視能訓練士がいませんでした。
そのため、採血や点滴、診察介助といった業務に加えて、検査も任されました。
採血や点滴は特に問題ありませんでした。
しかし、検査をするときはパニックでした。
視力検査や眼圧測定、眼底検査など、10種類以上ある器機と使い方を覚える必要があったし、患者さんからの質問にも答えなきゃで、泣きそうでした。
他にも、白内障や緑内障、網膜剥離、硝子体手術など、オペの準備もしなくてはなりませんでした。
頑張っていても、先輩に「何やってんだ遅い!!」としょっちゅう怒られていました。
特に、矯正視力検査ができるようになるまでは苦労しました。
学校でやったことないし教科書にも載ってなくて、目の前が真っ暗になりました。
検査のことは先輩に聞きまくり、時には終業後に先輩を捕まえて、患者さんのカルテを見てどうやってデータを出すかを聞いたこともありました。
仕事を覚えるまで3か月くらいかかり、その間は大変でした。
眼科の仕事は、覚えてしまえば楽しいもんですよ。
検査、検査で一日終わるので、余計なことを考えるヒマもなく、結構充実した時間が過ごせます。
長く通っている患者さんもいますから、顔見知りもできて、コミュニケーションを取ることもできますし。
いろいろな疾患の患者さんを看ることができるので、スキルアップできる職場です。
ただ、眼科の業務は、細かい検査が中心です。
検査が嫌いな方は、眼科での勤務は厳しいかもしれません。
眼科は勉強になる。
Y.Aさん(27女性)
勤務先:眼科
私は、総合病院勤務の看護師5年目です。
異動で眼科へ来ました。
特に興味がなかったのと、眼科にいる友人に「器械操作を覚えるのが大変だよー」と言われていたので、あまり行きたくなかったのですが…。
異動してきて、眼科の印象が変わりました。
結構面白いんです。
もちろん、異動したての頃は大変でしたよ。
視力検査とか、見たこともない検査器機を操作しなければならないのですが、どこを触ったらどうなるのかもさっぱりわかりませんでした。
もちろん、一通り説明は受けるし、研修も1週間くらいはありました。
でも、実際に患者さんを目の前にすると、頭が真っ白になってしまって、器械を触ったことがある同僚や先輩に聞きまくりました。
一番難しかったのは、矯正視力検査。個人差に慣れる必要があるので、どうしても数をこなさないと覚えることができませんでした。
聞いたことは一度で覚えるように、メモ魔と言われるくらい常にメモを取っていました。
そうすることにより同時期に異動してきた人たちより早くメガネやコンタクトも任せてもらえるようになりました。
そして次第に、検査結果と疾患のつながりもわかって来て。
DMの人は網膜症になりやすいとか飛蚊症は老化現象だとか。
働いているうちに、眼科って深いな、と思えるようになりました。
一緒に働いている友人とも、たまに同じシフトになって顔を合わせますが「もういろいろ覚えたんだ。早いね。」と感心されちゃいました。
今では、楽しく働いています。
子育てしながら働ける
M.Iさん(34女性)
勤務先:眼科
眼科で復職した、10年目の看護師です。
子育てしながら勤めています。
眼科は、看護より検査が多いと聞いていました。
正直、育児中に看護スキルが低下していないかが心配だったので、復職にはあまり看護スキルが必要なさそうなところを選びました。
入職した職場は、開業12年目のクリニックで、毎月130人くらいの患者さんを診ているクリニックです。
近所の常連の患者さんも多いです。
年配の方の免許の更新とか、メガネを作りに来る小さい子もいます。
日帰り手術もしています。
眼科を復職に選んでよかったことは、
夜勤がなく、時間も融通をきかせてもらえたところです。
子どもがいる身としてはありがたかったです。
聞いていた通り、眼科の仕事は看護というより検査でした。
視力検査や眼底検査などいろいろな検査の仕方や機械の操作を覚えました。
それから、白内障や緑内障をはじめとした眼科の疾患にはかなり詳しくなりました。
ただ、検査がたくさんあるので、器械の種類を覚えるのにもかなり苦労しました。
特に、矯正視力検査を覚えるまでが苦しかったです。
患者さんの個人差を考える必要があるので、数をこなすまでなかなか上達しませんでした。
くじけそうになったこともありますが、先輩のサポートのおかげで、今では一人前に後輩を指導しています。
私は、眼科で復職できて幸せです。
看護スキルはほどほどで問題ありません。
検査のことも覚えられるし、オペをする疾患の知識も身に付きます。
就業時間中は忙しくて大変な時もありますが、先輩や後輩とのチームワークで乗り切っています。
やることがたくさんあってオモシロイ
S.Mさん(30女性)
勤務先:眼科
私は、総合病院の眼科で3年働いています。
オペ室と内科を3年経ずつ経験し、異動してきました。
当初は、マイナーだし、カッコイイ感じでもなかったので特に仕事に期待はしてなかったです。
「眼科に異動したら、また速攻内科に帰ってくるよね」って、内科の頃はみんなで言ってました。
でも、半年で病みつきになりました。
眼科って、看護だけじゃなく、検査もするじゃないですか。
はじめは覚えるのが大変なんですが、慣れれば結構カンタンで。
かつ、オペ看もできるのが面白いです。
レーシックだけじゃなくて、顕微鏡での手術も見られます。
手術に立ち会うことで、どこをどんなふうに触るのかを学べるので、面白かったです。
もちろん、オペ室内の看護も、術前術後の看護も学べます。
他には器材管理もあります。超音波機器や手術機材の滅菌管理です。
看護に検査、オペ看も経験できるので、他の科よりやりがいがある気がします。
眼科は他の科より検査が多いし、マイナーだけど、ハマると結構楽しいんじゃないかな。
私の職場では、ハマった先輩や後輩が結構多いので、あまり異動したいっていう声は聞きません。
私も特に、内科に戻りたいとは思わないです。
イロイロ恵まれてるのかもしれませんね。
オペ室にて
A.Uさん(30女性)
勤務先:眼科オペ室
大学病院のオペ室に5年勤めた後、別の環境でも仕事をしてみたくなり、眼科病院へ転職しました。
経験を買われ、オペ室勤務になりました。
転職先は、小さい子から年配の方まで、幅広い年齢層の患者さんを施術します。
特に多いのは、顕微鏡を使うオペです。
顕微鏡下の手術の時は、患者さんの体動に気を付けます。
患者さんの些細な動きが、顕微鏡下ではすごく大きい動きになるので、眼球に傷がつく恐れがあり、怖いです。
とはいっても人間なので、咳が出てしまうときもあります。
そういう時は、オペの手を止める必要があるので、事前に「咳が出そうなときは、手を握ってください」とか、患者さんと合図を決めておくんです。
そうやって、オペがスムーズに進むよう、気を付けています。
顕微鏡下での最先端の眼科手術も学べます。
時には、手術介助をする看護師が顕微鏡をのぞきながら行う微細な業務もあり、術式の勉強につなげることができています。
未経験から入職しましたが、プリセプターがマンツーマンで指導してくれて、安心して業務を行うことができています。
顕微鏡下でのオペは難しい
K.Bさん(25女性)
勤務先:眼科オペ室
私は、新卒から3年間、ずっとオペ室に勤務していました。
専門性を高めたくて、眼科専門の病院に転職しました。
転職先は顕微鏡の手術で有名な病院です。
でも、最初に顕微鏡をのぞいた時に両眼で患部を視ることができなくて。
まずは肉眼で見えるオペからお願いしたいといわれました。
いまは白内障の手術の介助につく機会が多いです。
白内障の手術は、濁った水晶体を取りのぞいて、眼内に人工レンズを移植します。
一番緊張するのが、眼内レンズのセッティングです。直径6ミリのレンズをカートリッジの中に折りたたんで入れます。
あとは、医師がそれを2.2ミリの切開創から眼内に入れます。
レンズがキレイに開くと安心しますね。
オペ看としてどんなときにも対応できるように物品を整えて、スムーズに執刀医に物品を手渡せるように日々頑張っています。
眼科専門でオペに携わっているので、日ごとに知識はついてきています。
顕微鏡でのオペ介助には、まだまだ時間がかかりそうです。
まとめ
いかがでしたか?
眼科では、基本的な看護技術のほかに、検査をしてデータを出すことや、オペの準備なども仕事に入ってきます。
やることが多いので、溜息をつきたくなるのではないでしょうか。
そして、たかが検査といえども、眼科で扱う検査機器は10以上もあるため、入職から3か月くらいは、検査機器の使い方や、検査の勉強に追われます。カンタンだと思っていると、イタイ目にあいますよ。
その代わり、その時期を乗り切れば、病みつきになって眼科が大好きになる看護師さんも多いです。
眼科で楽しく働けるよう応援しています。