脳神経外科と聞くだけで、何か難しそうな感じがします。
実際、働いてみると覚えることが多く勉強の日々です。
脳神経外科で働く看護師って、できる人なんでしょ?
なんて、よく言われます。
できる人も中にはいます。
でも、そういう人も辞めたくなっちゃうほどキツイこともあるんですよ!
実際に脳神経外科で働く看護師の体験談を集めてみました。
急変のプレッシャーがキツイよ
急変のプレッシャー
H.Yさん(女性)
私は脳神経外科で働いて1年の看護師です。
家族が脳神経外科の病気になってしまったことがきっかけで転職をしました。
転職する前から、脳神経外科には重症や緊急の患者さんが多く、たいへんだということはわかっていました。
もう、急変のプレッシャーから逃げたいと思い始めています。
脳神経外科では、手術後の急変が珍しいことではありません。
患者さんの命が関わってくるので、急変の対応は責任重大です。
呼吸停止や血圧低下が起こるたびにパニックになってしまい、上手く対応できません。
急変対応が苦手なのに毎日急変が起こり、私の心臓が止まってしまいそうです。
なんとか1年頑張りましたが、もうこれ以上は耐えられないので転職活動をしようと思います。
やっぱり、きちんと自分にできるかどうかを調べるのって大事だなと思いました。
自分のダメさを痛感する
E.Oさん(女性)
私は、新卒で脳神経外科に配属されてしまいました。
まだ配属されて半年も経っていないのに、すでに辞めたくて仕方がありません。
急変が怖くて、出勤するのも憂鬱です。
脳神経外科では、オペ後の患者さんは全身状態がとても不安定です。
モニターもろくに見られない私は、患者さんの変化に気づけず先輩に教えてもらうことばかりです。
急変が起こった時に、何をしていいかわからず、いつも遠巻きに見ているだけになってしまいます。
何かをしないとと思うほど、怖くて何も考えられなくなってしまいます。
仕事が終わると、振り返りというダメ出しを先輩から受けます。
私の成長を願ってダメ出しをしてくれているということはわかっていますが、ますます急変が怖くなってしまいました。
毎日、急変が起こらないことを願いながら仕事をしています。
脳神経外科の先輩たちは、テキパキと仕事をこなしていて憧れます。
でも、私はもっと落ち着いて患者さんのケアができる診療科に転職したいと思います。
脳神経外科に、急変はつきもの。
患者さんのバイタルサインの測定や状態変化を確認して、応援を呼び迅速な対応をする。
わかっていても、急変が起こると慌ててしまうもの。
急変の雰囲気に慣れたり、シミュレーションやイメトレ、振り返りをしっかり行いパニックにならないように常に勉強しておかないと大変なことになっちゃいます!
体力的にキツイよ
腰痛と友達になる
S.Kさん(女性)
私は地元の大学病院の脳神経外科で働いています。
リハビリに興味があり、患者さんの状態を把握できるようになるため脳神経外科を経験したいと思い転職をしました。
脳神経外科に来てから、腰痛に悩まされています。
患者さんにADLが低い方がとても多いのです。
脳神経外科の患者さんは、脳血管疾患や脳腫瘍、脊損の方々です。
どうしても、オムツ交換や移乗の介助・体位交換とケア度が高くなります。
しかも、内科で高齢者が肺炎で入院するのとは違い、若くて体格の良い患者さんが多いため腰への負担がさらに上がります。
夜勤で人手が足りない時には、体重が50kgくらいな私が一人で80kg以上もある患者さんのシーツ交換を行うこともあります。
コルセットをして腰痛予防はしています。
でも、夜勤者は少ないので力仕事から逃れることはできません。
長く勤めたいと思っていますが、いつまで腰が耐えられるか心配です。
体力勝負!
R.Oさん(女性)
私は、年間300件ほどの手術を行う脳神経外科で3年働いています。
医療技術の進歩が速い脳神経外科で自分のスキルを高め続けたいと思い、地元の脳神経外科病院へ就職をしました。
仕事は楽しいのですが、体力的に辛いと感じています。
患者さんの介助がたいへんなんです。
脳血管障害にかかる人の多くが、生活習慣に問題があります。
そのため、患者さんは体重の重い人が多くなります。
看護師一人では体位交換ができない患者さんの介助の時には、本当に憂鬱です。
実際に、100キロ超えの患者さんが入院してきた時には、ベッドに横を向くスペースもないくらいでした。
本当にこの患者さんの体位交換をしなくてはならないのか、と気が遠くなりました。
希望通り、スキルUPはできていると思います。
でも、自分の体力的に数年後には限界が来そうな気がしています。
ボディメカニクス、始めました
Y.Dさん(女性)
私は脳神経外科病棟に勤務して3年目になる看護師です。
私の勤務する病院は3次救急病院になっています。
脳神経外科で救急なので、多くの患者さんは意識レベルが低い状態です。
そのような患者さんたちを毎日、清拭や体位変換で身体を動かしたり、車椅子へ移送したりと腰に負担のかかる業務をしています。
学生の頃から運動を続けていて体力に自信があったのですが、それでも腰痛になってしまいました。
それでも頑張って業務をこなしていたのですが、徐々にこのまま業務を続けていては「腰痛が酷くなる」と思うようになりました。
そこで、ボディメカニクスを学ぶことにしました。
実際に勉強したことを実務で使うことで腰への負担がずいぶん軽減されたと思います。
自分の身体に無理をせず働く方法を見つけることができ、私もまだ今の職場で働き続けられると思えました。
疾患の特性上、寝たきりだったり四肢に麻痺がある患者さんが多い脳神経外科。
だからこそ、どうしても体位変換や排泄介助、移乗介助のような介護業務が増えてしまいます。
力仕事が多くて、体力的には本当にキツイですよ。
患者さんとのコミュニケーションがキツイよ
八つ当たりの毎日
O.Yさん(女性)
私は脳神経外科で勤務して半年の看護師です。
半年前までは病棟勤務をしていましたが、異動で脳神経外科にやってきました。
まだ半年ですが、辛くてもう辞めたいです。
患者さんからの八つ当たりに耐えきれません。
これまで自分でやっていたことができなくなった患者さんや失語症の患者さんなど、
言語に対して障害があることで言いたいことが伝えられない患者さんがいます。
できない・伝わらないイライラから、そうした患者さんに八つ当たりをされます。
もちろん、患者さん自身が一番辛いのはわかっています。
八つ当たりをする人は一人ではないので、酷いときには日替わりで毎日、誰かしらから八つ当たりをされます。
気にしてはいけないと思うのですが、看護しているのにそのような態度をとられるのは辛いです。
患者さん全員が看護師に八つ当たりをするわけではありません。
でも、だんだんと患者さんに優しく接することができなくなっています。
もっと優しい気持ちで仕事をしていたいです。
患者さんとのコミュニケーション
H.Tさん(女性)
私は脳神経外科病院で働いている看護師です。
勤務している脳神経外科では、年間300件ほどの手術が行われています。
現在は脳神経外科から離れたいと思い、転職活動をしています。
患者さんのケアをすることが精神的にキツイと感じているからです。
脳神経外科は脳の疾患を扱う科なので、意識が明瞭でない患者さんが多いです。
そのため、患者さんとコミュニケーションをとることがなかなかできません。
どんなに親切に患者さんの看護をしても「ありがとう」と言ってもらえることが少ないです。
患者さんと話をしながら看護をしていきたいと思っていたのですが、脳神経外科で希望を叶えるのは難しいです。
会話だけがコミュニケーションというわけではないのはわかっています。
ただ、私はもっと患者さん話をしながら看護がしたいと思っています。
患者さんによっては「痛い」ということを訴えることすら難しい方がいます。
看護師としては、ジェスチャーやイラストを使って患者さんが答えやすいように質問の仕方を工夫することもあります。
それでも、患者さんにとっては言語的コミュニケーションがスムーズにとれないことが大きなストレスになるんですよ。
患者さんの細かなサインを見逃さないよう、気配りも必要ですね。
でも、キツイだけでは誰も脳神経外科看護師になってくれませんよね。
キツイ中でも、それ以上にやりがいを感じて働き続ける看護師もいます。
やりがいもひとしお
勉強できる環境
T.Iさん(女性)
私は脳神経外科に転職をして4年目の看護師です。
看護スキルをアップさせたいと、思い切って脳神経外科に転職をしました。
実際に働いてみて、脳神経外科で働くことが楽しいと思えました。
技術や医療に関する勉強会が行われ、どんどん新しいスキルを身に着けることが求められます。
私にとって最先端に関わることができるということは、大きなやりがいを感じることができました。
脳神経外科ではモニターをよく観察する仕事が多いのですが、転職してしばらくはモニターを見ても全く意味がわかりませんでした。
でも、勉強をしたり先輩に質問をしていくうちに、どんどんモニターが読めるようになりました。
自分の成長を実感することができてとても嬉しかったです。
脳神経外科で学ぶことは奥深く「もっと深く学びたい」と前向きに仕事に取り組むことができています。
勉強をすることが好きな私にとって、脳神経外科は楽しい職場になりました。
患者さんの回復が嬉しい
N.Iさん(女性)
私は2年前、脳神経外科に異動をしてきました。
正直なところ、最初は「自分が脳神経外科でやっていけるのかな?」と不安でした。
でも、今では脳神経外科に異動してよかったと思っています。
脳神経外科では、急性期で一時は命の危険があった患者さんが回復していくところを間近で見ることができます。
ある患者さんは、入院した時には寝たきりだったのですが、4日後には車いすで異動することができるようになり10日後には院内を歩くことができるようになっていました。
急性期からリハビリ期、退院までの経過があっという間で、変化の大きさに本当に驚かされます。
患者さんによっては、回復までに時間がかかったり、麻痺が残る方もいます。
そういった方の場合は医師やリハビリ師と一緒に、患者さんがどのようにすれば自宅で生活を送れるようになるかを話し合います。
自分が考えた看護の成果で少しずつ患者さんの出来ることが増えていくところが見られるのも嬉しいですね。
不安で仕方がなかった異動でしたが、脳神経外科で働くことで看護師をしていてよかったという気持ちが前より強くなりました。
大変だけど頑張る事で見えてくるもの
脳神経外科で働き続けるためには、キツイことを耐えて頑張り続けるしかない。
急変に対応できるように、勉強しまくったり、
腰痛にならない・腰痛を悪化させないように、コルセットをはめたりボディメカニクスを学んだり、
自由に動けない患者さんの意思をくみ取る努力をしたり……
そんなにキツイのなら脳神経外科はいいや~なんて思っちゃいますよね。
でも、そんなキツイことも頑張って耐えて働いているから「脳神経外科の看護師はできる人」なんて言ってもらえちゃうんです。
命に直結する仕事をしているやりがいが、こんな大変なことも頑張れる原動力になっているんですよ。