男性看護師には多くの悩みがあります。
「女性患者に関わるなといわれた」
「男性看護師を拒否された」
「女性社会になじめない」
問題はこれだけではないでしょう。
ここでは、男性看護師の悩みを集め、その実態に迫ります。
患者さんからの思わぬ差別編
公衆の面前で非難された話
I.Iさん(27歳男性)
当時の勤務先:大学病院
男性看護師27歳。
仕事にも慣れてきて、これからもっと頑張らねば、と気合いを入れていました。
ですが、がんばろう! という気持ちが折れる出来事に遭遇しました。
ある朝、患者さんの情報を出勤して集めていたら、突如大声を浴びせられました。
「なんで、病室に男性看護婦がいるの!」
「神聖な女性の職場に、男がいるなんて!」
「看護の国家資格は女子のもの!」
などなど、ちょっと前時代的だなと思いながらも、その時は他の人が取りなしてくれました。
しかし、その後その女性は病院に来るたび騒ぎ立てるようになりました。
それがあってか、患者さんから担当を拒否されることが増えてきました。
そのたびに、この病院にいていいのか、そして看護師を続けていいのか悩んでいます。
男性看護師が本当に必要なのか?
色々悩んでしまいやりきれない自分がいます。
患者さんから言われたらどうしようもない
E.Uさん(34歳男性)
当時の勤務先:国立病院
精神科に転職した34歳。
元々、民間病院で働いていまいした。その時の話です。
女性の患者さんが多いところで、よく患者さんに断られて、女性看護師さんに仕事を代行させてしまっていました。
申し訳ない気持ちでいっぱいでできる限り手伝いましたが、状況を変えられませんでした。
女性看護師さんに変わってもらう仕事ですが・・・・・・。
入浴介助から、陰部洗浄、オムツ交換など、それ自体が性別が違うとさらに羞恥を感じるケアです。
今は、男性看護師も増えてきたので、そういった羞恥を感じそうなケアは同性の看護師が行うことが増えています。
ただ、自分のいた病院では男性看護師が少なく、追加業務という形で女性看護師の負担になりました。
代わりに、少しでも負担を減らそうと夜勤を引き受けたりしました。
しかし、夜に男性看護師に会うと怖いというクレームが来たそうで、夜勤も通常の割り振りに戻りました。
人間、何をしてもダメなときはダメ。
潔く転職しました。
□ちょっと一息
患者さんに何か言われたら、その病院には居づらいですよね。
すぐに転職は無理だと思いますが、職場を変えた方が雰囲気は変えられます。
職場からの思わぬ男女差別編
男性看護師の育児休暇の取りにくさ
S.Sさん(31歳男性)
当時の勤務先:民間病院
31歳の男性看護師です。
妻が出産を迎えたので、育児フォローのために育児休暇を申請。
ですが、病院にある規定通りの育児休暇の申請が通らずに困っています。
元々、男性の育児休暇に対して世間の理解が薄いのは知っています。
ですが、思い切って出産を頑張ってくれる妻のために育児休暇を申請しました。
入院期間の二週間をフォローするためです。
申請は却下され、通常通りにシフトが割り振られました。
しかし同じ職場で結婚する女性には、10日間の休みを出しています。
師長は常々男女同権と口にしていますが、さすがにあきれました。
同僚の結婚に関しては、日程もわかっていたのですりあわせて勤務に支障が無いように申請しました。
また、夏休み休暇も妻の出産のためにとっておき、交渉材料として使いました。
実態は育児休暇どころか、週休ですら苦労する有様。
管理職の管理能力のなさなのか、男性が育児のために休むのがいけないのか。
結婚にしろ、育児にしろ病院や世間で定められた規約なのに、こうして差別を受けると悲しくなります。
上司が女性になったので・・・
S.Mさん(35歳男性)
当時の勤務先:公立病院
35歳の看護師で、精神病棟で4年勤務していました。
一般病棟でも勉強したいと思い、転職しました。
今は、毎日職場のことで悩みながら仕事しています。
理由は、上司が女性だったからです。
今までは同僚や上司はみな男性の場所だったので、気軽に何でも相談できました。
しかし、今は男性が自分一人だけという状況。
入った頃から距離を置かれている感じです。
自分から距離を詰めようにも、警戒されているのでやりづらいです。
もともと、自分は話し上手ではないので、女性社会特有の気配りや話術が苦手です。
相談事や食事に何人か誘おうものなら、一気に話が広まりそうで怖い。
師長も女性で、話した感じだと気軽に相談できる人でもない。
どうにかして、病棟に溶け込まないといけない。
そう悩みながら、毎日仕事をしています。
男女関係のバランスが怖い
I.Hさん(33歳男性)
当時の勤務先:大学病院
アラサー看護師です。
大学病院で副主任を任されています。
最近、同じ副主任の女性看護師とのことで悩みがあります。
彼女とは、別の部署なのですが同期で新人の頃から研修とかで何度か一緒なり、アドレスを交換。
その後、何回か二人で食事に出て研修や会議の愚痴を言い合う関係になりました。
女性としての意識よりも、友人としての意識が強かったこの関係。
ですが、相手は意識が変わってきたみたいで、しぐさに女性を出してきます。
普段の言葉遣いの甘えが強くなっているとか。
美容室でイメチェンしたら、メールで一番に見せたがるとか。
上目遣いで「一緒にいて安らぐから、もう少し一緒にいて」と言われたときとか。
同僚として、ちょっと距離が近いような感覚です。
私は、彼女の人柄や研修時の仕事への姿勢を尊敬しています。
なので、副主任という立場における同志のような意味合いでつきあってきました。
かといって、それを告げて関係がゴタゴタしたら嫌ですし、立場もあるので職場にも悪い影響が出る。
いっそのこと、関係を絶ってしまうかどうか、それが悩みどころです。
□ちょっと一息
育児休暇取れないのは、苦しいですし、女性独特の空気もあります。
知り合いは女性であっても「育児休暇を取るなんておかしい!」と言われたそうです。
男性よりも、むしろ女性の上司の方が厳しいかもしれません。
職場で遭遇した理不尽編
職場での悩みあるある3つ
I.Kさん(24歳男性)
当時の勤務先:民間病院
男性看護師で、今年24です。
プリセプター経験中で、毎日が激闘です。
男性看護師ならではの、悩みが三つあります。
それについて、紹介します。
1,更衣室がない
着替えは、トイレでやることもありました。
男性看護師を増やすなら、ほしい。
2,相談相手がいない。
数人新人を増やしても、その新人の相談先が自分に集中するかもしれない。
なので、男性湖看護師のベテランさんを要求しました。
現在、相談できる人はおじいちゃんのドクターです。
ただ、忙しいので気が引ける、
3,厳しい
「男だからこれくらいできるでしょ!」
「男性か細やかな配慮ができない」
など、いろいろ言われました。
先輩ナースの動きを参考に、動きますけどまだまだ足りないですね。
病院に、男性看護師がいると空気が和らぐと言われています。
ですが、自分はだいぶギスギスさせたなぁと思います。
せっかくプリセプターに任命されたので空気の改善もやらねばならないですよね。
少しずつ出世して、職場をよくできればいいなと思います。
スキルアップしたい! と思ったが。
B.Hさん(33歳男性)
当時の勤務先:民間病院
33歳の男性看護師です。
免許を取って就職して3年が経過しようとしています。
現在、民間の認知症病棟で働いていますが、悩みがあります。
それは、このまま今の病棟にいてもいいのかという悩みです。
人間関係や、給与に不満があるわけでなはありません。
自分のスキルアップができないことに不安を感じています。
採血は月に数回あるかないか、点滴は月に1回ほど。
基本的には体力仕事の介護がメインで、それ以外は自主勉強が多く。
このままだと、自分に技術が身につかないのではないか?
そんな風に、不安が募る日々です。
違う病棟に異動を希望しましたが、却下されました。
「どうしても、男手がほしいので、異動は困る」
とのことで、転職か残留か非常に迷いました。
私は、今後の自分の体力と安定を求め残留することにしました。
転職も考えたのですが、忙しい病棟は年齢的に不安を感じます。
若い人は、体力があるのでスキルアップで悩んだら転職を考えてみてもいいと思います。
前職が災いした話
R.Eさん(33歳男性)
当時の勤務先:大学病院
看護師2年目になった33歳。
もともと、IT関係の会社にいてやりがいを求めて転職。
看護師への転職は無事成功し、業務になんとかついて行っている日々です。
そんな私の悩みは、自分の時間がないことです。
看護師の仕事は、転職してみてよかったと思います。
採血などの処置の繊細さや、患者さんとのやりとりは新鮮で、勉強になります。
しかし、時間がたつにつれ看護研究やその研究の発表が主な業務になりつつあります。
理由は、元IT関係者なのでパソコンに強いからです。
パワーポイントやそのほかのソフトが使えて、パソコンに詳しく、論文もできます。
さらに、男性であるので教授や研究員の方が話しかけやすいらしく、秘書のような扱いで重宝されています。
ですが、休日もどんどん呼び出されるので休めていません。
せめて、少しでも自分の時間が持てればリフレッシュできるのですが・・・・・・。
看護師してるのか、秘書をしているのかわからない状態です。
こういうのも男性ならではの悩みなのか、女性でもあるのか・・・・・・。
社会人になっておつきあいの断り方も学んだはずなんですが、うまく断れてないですね。
□ちょっと一息
男性看護師は、性的な差別だけでなく、孤独感のようなものもあります。
女性がどれそれができない、というわけではありません。
スキルアップができない、業務の量が増えるなど、同種の悩みを抱えている人もいます。
変わったお悩み編
住む場所は、自分で探す
I.Bさん(30歳男性)
当時の勤務先:公立病院
昨年に転職した男性看護師です。
まさか、30にもなって自分の住む場所に困ることになるとは・・・・・・。
都会の大病院でスキルアップを目指し、病床も500を超える病院に転職しました。
転職の挨拶にいったら、開口一番こう言われました。
「あ、住む場所は自分で探してください」
今まではきちんと寮があって、生活していたのでびっくり。
結局、うち病院は女性専用の寮しかないといわれ、自分で探しました。
ちなみに、賃貸補助も出ず、手取りも減りました。
スキルアップのために転職しましたが、住居の面で困るとは思いませんでした。
身近な悩み。ナースマンの靴選び
H.Nさん(26歳男性)
当時の勤務先:民間病院
ナースマン2年目の26歳。
共感者があまりいないかもしれないですけど、自分にとっては深刻な悩みです。
就職して一番悩んだのは、病院指定の業者のカタログに靴がないこと。
ナースサンダルは基本女性用なので、自分の持たされたカタログには載ってなかった。
今は、ネットで調べればナースシューズやベルクロやクロックス風のシューズがあります。
といっても、白はすぐ汚れるので変えなきゃいけないのが悩みです。
あと、個人的に紐靴の方が疲れにくいし、重いものを持つとき踏ん張れるので。
ネットの通販だと実際に履けないのが悩みです。
カタログにもし靴があっても同じ悩みを持つと思います。
横幅が人よりだいぶ大きくて、普段履く靴の横幅で毎度困る。
靴屋の足形測定でも「大きいですね~3Eくらいでぴったりですね」
と言われたことがあります。
実際、横幅が4Eあたりが履いてて楽なんですよね。
今は師長に相談して、横幅が広い白のシューズ履いてます。
しかし、履きつぶしやすいので、経済的にちょっとダメージが大きいです。
暴力への対応
Y.Bさん(29歳男性)
当時の勤務先:国立病院
男性看護師になって5年。
そろそろ三十路かとため息が出る29歳。
職場では肩身が狭く、休憩室でもそそくさと食べて出る感じでした。
あるとき、状況が変わります。
女性看護師への暴力を振るう患者さんが偶然入院していまして・・・。
医者にはへこへこしつつ、看護師には辛く当たるタイプです。
その患者さんは、何かがお気に召さなかったのか、看護師の女性につかみかかりました。
自分が通りかかったので、さすがに見過ごせず介入。
「医者出せ! 話にならん!」
「先生は呼びますけど、その前に手を離しましょうね?」
話を聞くと、笑顔が気に入らなかったとか・・・・・・。
すぐに先生は呼ばずに、いろいろ話を聞くとおとなしくなりました。
そういったことがあってか、状況は好転しました。
人間扱いされる感じになりましたね。
まだまだ院内階級は低いですけど・・・・・・。
男性ならではのやり方を模索していこうというきっかけになりました。
□ちょっと一息
一人は悩みが解決したようにも思えます。
ほかにも、住む場所、靴・・・・・・。
細かいかもしれませんが、直面すると困りそうです。
まとめ
2000年代から、徐々に男性看護師が増え始めています。
看護師の仕事が、世間から理解を得られてない部分が多く。
そこに入っていった男性はそれぞれ苦労をしているようですね。
女性からの攻撃を受けたり、なじめなかったり、ギャップに苦しんだり。
それでも看護師を続けている人がいます。
いっそ、男性看護師でも受け入れられるところに転職するのも一つの手段です。