知られざる透析看護師のお仕事事情 転職体験談10選

透析看護師は、全国どこへいっても仕事に困らなくてイイなー。
そんなふうに思ったことはありませんか?

たしかに、病院自体は全国どこでもあるのですが、内情まではわかりませんよね。
ここでは、転職を体験した先輩たちの失敗談と成功談を紹介します。

では、具体的にどんな内情だったのかを見ていきましょう。

転職失敗談

忙しいからって…

A.Dさん(30女性)
当時の勤務先:透析室

私は、病棟勤務から転職し、透析室で勤務していました。
今後は透析室で新しい技術を覚えて、全国どこへいっても通用する看護師になりたかったからです。

いざ透析室で働き始めてみると、忙しすぎる環境が嫌になりました。

私が働いていた透析室では、返血を行いながら2クール目のプライミングやベッドメイクをする必要がありました。
患者さんの数が多いので、ベッドを空けるため、止血確認が済んでいない方でも車椅子へ移動してもらわねばなりません。

新しい技術は覚えることができたし、全国どこへ行っても仕事に困ることはないと思います。
でも、忙しすぎる病院だと、返血とプライミングが混在して感染リスクが高くなります。
そう考えると、透析室で働くのが嫌になりました。

感染が怖い

N.Kさん(32女性)
当時の勤務先:透析クリニック

私は引っ越しのため、病院の透析室から透析室クリニックに転職して3か月を迎えます。
透析なら続けていれば全国どこでも働けるので選びました。

もう転職を考えていますけどね。

今働いているクリニックは、感染予防ができていません。
医者も看護師も、感染者を把握していないのです。
そして、肝炎の感染者と一般患者を分けることもしません。
同じベットを使い、処置の対応も同じように行います。

穿刺後も返血後も手を洗うことはないし、消毒すらしません。
肝炎患者が使用した後に、機械を拭くこともしません。

確かに、透析の技術を持っていれば、全国どこへ行っても働けます。
でも、施設によっては、このクリニックのように感染予防ができていないところもあります。

いつか事故が起きそうな気がして怖いので、近いうちに転職を考えています。

医師の職場放棄

G.Oさん(35女性)
当時の勤務先:透析クリニック

私は、かつて透析室で勤務していました。
なぜなら、転職をしてスキルアップができればと思ったからです。

ですが、1年しか持ちませんでした。
理由は、恐怖です。
いつ患者さんに訴えられてもおかしくない病院だったのです。

専門の知識が必要な透析ですが、なぜか専門医がいませんでした。
担当していたのは、透析の知識がない泌尿器科医だったからです。
結果として、患者さんの検査データももらえないという状態になっていました。
なので、看護師が心胸比を測定して、ドライウエイトを決めていました。
エコーを読める人は自分で判断して、循環器の医師に確認しながら対応していました。

何もかもなる投げされているので、必然的にスキルは上がります。
上げないと、いつ患者さんに訴えられてもおかしくない環境だったからです。

結局、その環境についていけず、一人、二人と看護師が透析室を去り、私も一年後に辞めました。
転職するときは、看護師の業務区分も確認したほうが無難だと思いました。

転職は自分で調べてから。

D.Aさん(26女性)
当時の勤務先:透析クリニック

私は、5年の病棟経験のあと、半年ほど透析クリニックで働いた経験があります。
透析は「針が刺せれば大丈夫だから」と聞いたからです。

実際には針を刺すだけでなく、観察も重要でした。

透析は体外循環をするので、看護師にとっては「多少のミス」でも、患者さんにとっては命取りです。
除水をし過ぎたため、患者さんがショックを起こして急変させてしまったこともあります。

確かに、透析クリニックでは針を刺すことも大事だと思います。
でも、観察のほうがはるかに重要で、患者さんの少しの変化を見逃すと、急変につながってしまいます。
私が以前勤務していた病棟は、そこまで観察が必要な患者さんはいなかったので、透析クリニックは怖くて耐えられませんでした。

今後は聞いた情報だけでなく、自分でも調べてから働きたいと思います。

エアー置換返血

M.Gさん(35女性)
当時の勤務先:透析クリニック

私は、引っ越しのため、総合病院の透析室を退職し、透析クリニックに転職しました。
日曜日は必ず休みの生活が良かったため、再び透析クリニックを選びました。

転職して一か月が経ち、辞めたいと思い始めました。
コスト削減のため、患者さんを危険にさらす透析クリニックだったからです。

具体的には、エアー置換返血法を採用していました。
私はこれまで、エアー置換返血法は禁止だと習ってきました。
エア感知器が付いていても絶対に安全ではないからです。

医療事故防止のための標準的透析マニュアルにも「エアー置換返血法を行ってはいけない」と明記されています。
なぜエアー置換返血法をしているのか先輩に聞いてみたら、「コスト削減のため」と言われました。

確かに、今のクリニックでは、日曜日に休みを取ることはできます。
でも、コスト削減のために患者さんの命を危険にさらすのは納得できません。

日曜日に休みは取れなくなるかもしれませんが、時期を見計らって別のクリニックへの転職を考えています。

センパイが怖くて…

U.Oさん(30女性)
当時の勤務先:透析室

私は、病棟から透析室へ転職して一年がたった、7年目の看護師です。
今後の結婚や妊娠を考えて、ずっと仕事を続けたかったので、透析室を選びました。

でも、転職しようか迷っています。
透析室は、仕事を教えてくれる先輩が怖いからです。

透析室は、1つのフロアーになっています。
だから、自分の行動が先輩に丸見えです。
先輩の気に食わないやり方をしてしまうと、すぐ目を付けられ、病棟以上に陰口を言われます。

先輩は私に教えてくれる時は親切ですが、ウラでは何を言っているかわからなくて怖いです。
返血も早く処置をしないと怒られるので、怯えながら仕事をしています。

透析室は妊娠や子育てをしながら続けていける職場ではあります。

ですが、あの空気の中でずっと勤めていけるのかが不安です。

嫌な体質の透析クリニック

D.Gさん(35女性)
当時の勤務先:透析室

私は引っ越しのため、東京の透析クリニックから地方の透析クリニックに転職をしました。
透析の技術を生かしたかったからです。

まさか、半年も勤務しないうちに転職を考えることになろうとは。

先輩の態度が横柄で、ガマンの限界でした。
先輩は乱暴に穿刺をする人でした。
そして、患者さんの腕が腫れても謝罪すらしません。

先輩は患者さんの希望の位置に穿刺せず、その上毎回失敗します。

患者さんは、私に先輩のクレームを言いに来ます。
私は苦情対応は苦ではないので、いつも患者さんに謝罪しなだめていました。

透析中に先輩が担当している患者さんの血圧が落ちて急変しても、先輩には知らん顔をされました。
幸い経験のある急変だったので、医師を呼びつつ処置をして事なき終えました。

これを機に、主任に先輩の態度を報告しましたが、「あの人は注意しても変わらないから」と取り合ってもらえませんでした。
患者さんの命を預かる処置をする場所でそんなことを言われ、この病院に勤務するのに嫌気がさしました。

全国どこでも透析する場所はあります。
でも、地方では透析をする場所自体が少ないので、東京のように選ぶことはできません。
今は透析以外の職場も含めて転職を考えています。

転職成功談

勉強できる職場

H.Bさん(30女性)
当時の勤務先:透析室

私は、病棟を8年経験した後、透析室に勤務して2年目になります。
転職するときに希望が通らず、透析室に配属になったからです。
透析室は、他の科に転職しにくい印象があったので、正直嫌でした。

ですが、透析室に配属されてからというもの、前よりも積極的に勉強するようになりました。

透析室では、ゆったり看護ができるからです。
患者さんの生活スタイルや人間性を知ることができて、その人に合った看護を考えられるようになりました。
体重から計算して除水量を出すので、患者さんの変化に敏感になりました。

確かに、透析室は専門性が高いため、透析室以外の科へ転職するのは難しいかも知れません。
でも、患者さんと信頼関係を築きながらゆったりした看護ができるため、勉強するのが楽しいと思えています。

安心できる場所

U.Aさん(32女性)
当時の勤務先:透析室

私は、病棟から透析室へ転職しました。
最初は希望以外の部署で嫌でした。
それに透析室には自己中な患者さんが多いと聞いていたからです。

実際は、異動してきてよかったと思っています。
教育体制が整っており、仕事をイチからしっかり教えてもらえました。

刺しやすい人から穿刺させてもらえたので、患者さんへの対応がしやすかったです。
クレームが多い患者さんの時は、穿刺を変わってもらえました。
その際にも、しっかり患者さんに対応するコツを教えてもらえました。

クセのある人は、ベテランの先輩か技師が対応してもくれました。
時には、「私をみて対応を勉強して」と、対応の仕方を教えてくれました。
そのおかげで、患者さんとの話し合い方やなだめ方も覚えられました。

確かに、自己中な患者さんが多く、対応に苦労するときはあります。
でも、いざとなったら先輩が助けてくれるので、順調に勤務しています。

将来は、クレーマーに対応できるように頑張りたいです。

技師のワザ

Y.Nさん(35女性)
当時の勤務先:透析室

私は、病棟に8年勤務してから転職して透析室で働いています。
スキルアップを目指して、希望をしたからです。

転職したての頃は辛くて、看護師としての自信を無くしかけました。

年下の臨床検査技師より、穿刺の知識や技術が劣っていたからです。
臨床工学技師は透析を専門に学んでいるので、看護師より知識も深いし、知っている範囲も広いです。
サーフローの刺し方や製品の構造に精通しているので、シャントへの穿刺も看護師より上手な人もいます。

自分ときたら、看護師経験が8年もあるのに、透析室では新人扱いでした。
転職後半年は穿刺の介助しかさせてもらえず、プライドがへし折られる気分でとても悔しかったです。

臨床検査技師から知識や技術を教わったので、スキルアップはできました。
でも、スキルアップするまでに、年下の臨床技師に教わらなければならないことで、看護師としての自信を無くしかけました。

そんなこともありましたが、臨床検査技師のおかげでしっかり穿刺のワザを覚えることができました。
今は、ただただ感謝しながら勤務している毎日です。

まとめ

転職成功談は、なんともうらやましい話ですよね。
転職するからには、成功したいのはもっともです。
では、どうしたら成功できるのでしょうか。

転職の失敗と成功の違いは、
内情をゲットできるかできないかです。
転職に失敗した先輩のほとんどは、内情を知らなかったので残念な結果に終わりました。

でも、内情なんてわからなくない?
と思いますが、転職サイトで手に入ったりします。

また、現在の職場と環境を比べ合ったりもできますので、登録しておくことをお勧めします。