目標を持って仕事に臨むことの意義 病棟に勤務する5人の看護師の体験談

何を目標に看護をしたらいいかわからずに困ることはありませんか?
日々の目標がなく、ただ時間が過ぎるのをやり過ごしてしまうこともあるかもしれませんね。

そんな時は、ご自身の経験を振り返ってみるといいかもしれません。
去年まではどんなことができた?
じゃあ、今年はどんなことをしたらいい?

ここでは、病棟勤務の看護師がどんな目標を立てて自分なりの看護を実践しようとしているか、5人の体験談を紹介していきます。

看護師の病棟勤務での目標

見失っていた目標

U.Dさん(21女性)
勤務先:病棟

私は、1年目の看護師です。
病棟に勤務していますが、仕事と勉強、人間関係に疲れました。
看護学生の頃は、同期と看護観を語り合って徹夜して頑張り、入職当初もこれからもっと頑張ろうと思って、ラダーの目標にも3つ書き込みました。

目標
・患者さんへの処置やケアを安全・快適に出来るようになる。
・患者さんとコミュニケーションを取れるようになる。
・先輩の指示のもと、仕事の優先順位を考慮して行動できるようになる。

そして、業務についていくため一生懸命勉強もしました。
でも、予想外の忙しさについていけない気がしています。
そして、そんな自分が情けないと思い、毎日胃が痛いです。

「勉強してないの?」「そのアセスメント違う」「まだルート確保できないの?」
先輩からは連日のように怒られています。

今は、勉強する気力がなくなってきています。
出勤前は呼吸が苦しいです。

なんで自分には出来ないのか、疲れて何を勉強したらいいのかわかりません。
それで、ああ、辞めたいんだって思いました。
同期にもう辞めるわってグチったら、目標達成できない前に辞めるのはもったいといわれました。

同期も、別の病院でさんざん怒られているそうです。
病棟で忙しいのはわかるし、毎日毎日疲れるよね。
だけど、一日一つずつなら覚えれるでしょ?
わからなかったことをその日のうちに調べるだけでもいいと思うよ。

受け持った患者さんの疾患を調べるだけでも全然違うよ。
一つずつ解決することで、何を勉強したらいいのかがわかると思う。
わかると、楽しくなると。

そして、休みの日に遊びに誘ってくれました。
平日の遊園地で絶叫マシーンに乗って叫んだら、何か吹っ切れた気がしました。
リフレッシュもできていなかったんだと気づきました。

それから私は、看護目標を達成するために、一つ一つの仕事をもう一度見直し、わからないことはその場で先輩に質問するようになりました。
先輩は「は?また説明するの?」と怒りながらも、教えてくれました。

そうして一つずつわからないことを解決していったら、1年後、目標を達成することができました。

目標の見つけ方

Y.Nさん(23女性)
勤務先:内科病棟

私はICUから一般病棟に転職した3年目の看護師です。
婚約者の転勤で引っ越してきたため職場が選べず、経験のない内科病棟しか募集がありませんでした。

職場には「目標管理シート」がありました。
まず、目標を自分で設定します。
そして、具体的な行動計画を作れるような目標を立てるようにとのことです。
厄介なことに、年度の前期・後期ごとに設定が必要です。
しかも、目標管理シートを元にした主任との面接があるんですよね。

困ったことに、目標が見つかりませんでした。
ただでさえ、あまり興味のない内科病棟での勤務です。
そもそも私は、看護師に憧れていたわけでもないです。
収入を得たかっただけなんですよね。
特にこれがやりたいとか、キラキラした目標があったわけではありません。
それでも、看護をする中で、自分なりの目標や看護観がないといけないとは思っています。

入職してからは、業務を淡々とこなしていく日々です。
前職はICU、今は内科病棟なので、はっきり言ってギャップは大きいです。
受け持ちの患者さんもICUでは2人だったのに、病棟では7人に増えました。
患者さんの顔と名前も一致しないし、病状も把握できていない状況で勤務をしているものですから。

私としては、現状維持にしたいところなのですが、自分がステップアップする内容でないと受け付けてもらえないそうです。
このままでいいとは思っていないのだけれど、目標を作ったら目標に追われそうで怖い自分もいます。
努力できる範囲でやるから干渉しないで欲しいとも思うのですが、病院側からしたらそうはいかないですよね。

そこで、病院の理念や看護部の方針を再確認してみました。
病院が何を求めていて、自分に何ができるか、できていないのかも書き出してみたんです。

そうしたら、目標が見えてきました。
私の目標は、患者さんをもっと知ることです。
顔と名前も一致しない状況だから、疾患以外にも情報収集をして、コミュニケーションができるようにする。
そして、患者さんの話に傾聴したり、ペースを合わせて処置することをできるようにしていきたいと思いました。

明日、主任に目標管理シートを見てもらおうと思います。
受け付けてもらえるといいなあ。

自分の成長

B.Yさん(25女性)
勤務先:外科病棟

私は、新卒から病棟と外来に勤務して5年目になる看護師です。
希望した配属ではなかったので、最初はこれと言った目標もなく業務をこなしていました。

目標管理シートには
・挨拶をしっかりする
・遅刻をしない
・体調管理をする
と、看護師以前に人間として当たり前のことばかり書き、師長に呼び出されたこともありました。

でも、外科系の病棟と外来勤務が数年続いたせいか、外科疾患や看護を人以上に勉強するようになりました。
目標管理シートも
・患者さんのペースに合わせた処置をする
・疾患を看るだけでなく、コミュニケーションを取れるようにする
という風に記述できるようになっていきました。

さらに、外科疾患や看護では誰にも負けたくないという気持ちも芽生えてきました。
もっともっと勉強して力をつけて、外科病棟で師長になりたいと思うようになったのです。
それからは、以前にも増して、目標もしっかり持つようになりました。

看護の目標も、病院や看護部の理念を再確認し、目標を3つに区切って提出するようになりました。
・病院内や看護部内の役割に関して
・病棟内での役割に関して
・個人的な目標

目標設定して、それを目指す行動を計画して、達成します。
提出すべきものは個人的な目標だけなので、自分の役割を把握して提示したことに師長もビックリしていました。
この数年間は周りから頑張ってるね、という目では見られていたので「師長になりたいんです」といっても、応援するから頑張ってね、という温かい意見が貰えました。
私は、勉強会や研修には積極的に参加し、管理職の方々にも自分の意志をはっきり伝えました。
そうしておくことで、何かと気にかけてくれますから。

師長になりたいことは、家族はもちろん、同期にも伝えてあります。
看護はチームなので、一人で頑張っても無理です。
自分が努力することは一番大切ですが、周囲の協力も必須です。

頑張って目標を達成し続けて、後輩の憧れの師長に慣れるように頑張ろうと思っています。

患者さんのための看護目標

H.Uさん(22女性)
勤務先:内科病棟

私は新卒から内科病棟に勤めて2年目を迎える看護師です。

私の病院では、個人の目標を3か月に一度提出します。
そして半年に一度、目標管理シートの確認のための面接があり、査定にもつながります。
一年目は、基礎技術の習得を目標にして、クリアできました。
私は二年目なので、今年強化したい年間目標と、3か月単位での目標を挙げるように言われました。
目標は小さすぎると目標にならないし、大きすぎてもプレッシャーになってしまいます。

私は、自分のためにも患者さんのためにもなることは何だろうと考えました。
去年を振り返ってみると、基礎技術を身に着けるのがやっとで、患者さんとのコミュニケーションを大事にできていませんでした。

そこで、今年は患者さん中心の看護をしたいと考えました。
目標として思い浮かんだのは、看護計画の立案と患者さん対応の強化でした。

まず、患者さんに安心して看護を受けてもらうために、インシデントの対策をしようと思いました。
どんなことでヒヤリハットが起こっているかを明確化するためにも、インシデントレポートを提出するのが最良だと思いました。

次に、看護計画の立案をどうするかです。
進め方としては、病態と援助内容を一致させたいので、看護記録や看護計画を皆にみてもらって進めていきたい。
最終的には、看護計画の立案と発表ができればいいとも思いました。
周りのスタッフから助言をもらって、看護計画の修正や追加もしたいと思いました。
そこで、上司に相談しました。
看護計画の立案・発表をするとなると、どうしても上司の指導が必要になってきます。
忙しい上司が許可をしてくれるかが不安でしたが、快く承諾してくれました。
そして、私の目標が定まりました。

目標
3か月単位での目標
・インシデントレポートを毎月10枚出す
年間目標
・患者さんとの関わりをプロセスコードに起こして、学びを発表する。
・看護計画の立案と発表をする

以上が、患者さんを中心に、安全・安心な看護を提供するために今できる私の目標です。
まずは、3か月インシデントレポート10枚提出する目標を達成できているといいと思います。

番外編~自分なりの目標~

目標は認定看護師

S.Tさん(25女性)
勤務先:病棟

私は、小さい時に命を助けてもらってから、ずっと救急の認定看護師を目標にがんばってきました。

そして、新卒で900床の地域の中核病院に入職できました。
救急外来を希望したのですが、最初に配置されたのは外来でした。
先輩に希望がかなわなかったとグチを言ったら、1年目で救急はまだ早いといわれました。
希望に一歩近づいたのは3年目でした。
外来から病棟へ異動できたのです。

そして、新卒と一緒の配属でした。
一緒に業務を教えてもらえるかと思いきや、先輩は新卒に付きっきりになりました。
イジメられていたわけではないですが「経験あるから大丈夫だよね」と言われ、私は放置されました(泣)。

病棟では新人同然なのに。
病棟での技術やケアの経験が全くない私にとっては期待も結構なプレッシャーになりましたよ。

それから病棟に何とか慣れるまでの二年半、本当に辛かったです。
でも、外来も病棟もできたらカッコいいと思うし、24時間患者体制で患者さんの観察ができて、将来のキャリアの基盤にもなることだから、経験しておいて損はないんですよね。
わからないことを確認したくてナースステーションに走るも、多忙で誰もいないことがしょっちゅうでしたけどね。

担当は重症部屋が多かったので、毎日死にもの狂いでした。
先輩も、できるときにはフォローしてくれました。
先輩が指導してくれる時は、貴重な機会を逃すまいと、必死でしたね。
何しろ、重症患者さんばかりだったので、メモを取る余裕なんてありませんでしたけど。
特に、急変時は先輩の指示を聞き洩らさないように耳に神経を集中し、手技は目に焼き付けて覚えました。

1年が経ち、やっと病棟の仕事に慣れてきたと思ったら、すぐにリーダー業務と委員会や研究の発表、後輩指導を任されました。
これまた一杯一杯で1年をやり過ごし、少し業務に慣れるまで、1年半かかりました。
病棟でもう少し経験を積んで、次の異動では救急へ行きたいです。

私の目標は、救急看護の認定看護師になることです。
キャリアを積んで、救急へ異動して、命の最前線で活動していきたいです。

まとめ

これまでの経験と、これから自分のやるべきことを考えた時に、どんなことが思い浮かびますか?
自分の役割を考えていくと、おのずと目標も定まってくるのではないでしょうか。
そして、設定した目標をこなせれば、自分の自信にもつながっていきますね。

どうしても今の職場では目標が見つからない場合は、転職を考えるのも良いと思います。
あなたの目標をかなえられるよう応援しています。